曇りなき眼で見定めブログ

学生です。勉強したことを書いていく所存です。リンクもコメントも自由です! お手柔らかに。。。更新のお知らせはTwitter@cut_eliminationで

アニメ批評批判

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその18 セカイ系問題とシャカイ系

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 第四章157ページで「シャカイ系」なる言葉が出てくる。これは杉田俊介先生の以下の記事で…

キミは『ど根性ガエル』第146話(第73回Bパート)「かんかんアキかんの巻」を見たか?(「純粋アニメ」の世界)

アニメを論ずることに興味がある人はぜひ見るべきだと思う。 ピョン吉誕生の巻/平面ガエルはつらいよの巻 Amazon 『ど根性ガエル』はこの「かんかんアキかんの巻」が有名なので以前にこの回だけ見たことがあった。最近同作を最初から見ていて(作画史の勉強…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその17 キャッチコピーをもとに批評するのをやめないか

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 映画やアニメを論ずる際、そのキャッチコピーから作品を読み解いていくということは、基本…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその16 「アニメ判定家」という概念を提唱したい

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 前回までで『魔女宅』論批判を終えて一段落したので、今回は総論的なことを書く。軽めに。…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその15 唐突なアイドル論

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 今回で『魔女の宅急便』論批判は終る予定。 本書の『魔女宅』論中で強烈に違和感を感じた*…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその14 「旧来の型の労働の隠蔽」に陰謀論の匂い

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 『魔女の宅急便』論批判のメイン回でごんす。 前回見た通り、河野先生はキキの仕事はポス…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその13 「郵政民営化の物語」ふたたび

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon ようやく「その8」で予告した『魔女の宅急便』論批判に戻れる。これは本当に問題が多いの…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその12 「アイデンティティの労働」の定義らしきもの

お久しぶりです。↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 前回は「アイデンティティの労働」なる概念がよくわからないと書いたが、…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその11 アイデンティティの労働

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 前回はアイデンティティ管理という概念がよくわからないと書いたが、今回はそれと関連する…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその10 アイデンティティ管理とは何か?

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 今回はシェリル・サンドバーグさんについての続きでフェイスブックについて。 3章。『魔女…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその9 シェリル・サンドバーグさんに何か恨みでもあるのか?

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 『魔女の宅急便』論について続けようかと思ったが、その前にシェリル・サンドバーグ氏につ…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその8 「『魔女の宅急便』は郵政民営化の物語」とはこれいかに?

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 今回は宮﨑駿監督『魔女の宅急便』について。 113ページで、以前に触れた三浦玲一先生を引…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその7 『おおかみこども』が感動的なのは細田監督の演出が上手いからではないでしょうか

↓これの続きです。 cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon マシュマロで「最近ブログの文章がファビョってる」みたいなありがたいコメントをい…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその6 アナ雪論についてもう少し

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫) 作者:河野真太郎 筑摩書房 Amazon 前回はアナ雪論がアナ雪論になっていないと述べたが、今回は補足として一箇所引用する。 こちら。 …

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその5 アナ雪論がまったくもってアナ雪論になっていない

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫) 作者:河野真太郎 筑摩書房 Amazon 今回は具体的な作品論を批判するぞ。1章の『アナと雪の女王』論について。前に河野先生はアナ雪を見…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその4 ポストフェミニズムの曖昧さと無意味さ

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 今回は新自由主義とともに本書に頻出する「ポストフェミニズム」という用語について。 ポ…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその3 あれも新自由主義これも新自由主義もっと新自由主義もっともっと新自由主義

↓これの続きでごんす。 cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫) 作者:河野真太郎 筑摩書房 Amazon 今回はお待ちかねの新自由主義の話でっせ。 本書の頻出ワードの一つである「新自由主義」…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその2 あんまりアニメをナメるなよ小僧

↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon いきなりあとがきから見ていくのだが、こんなことが書いてあった。 二〇一四年四月、当時…

河野真太郎『増補 戦う姫、働く少女』徹底批判シリーズその1 適当に本を読んで適当にアニメ見て適当にジェンダーとか格差とか論じたら売れちゃいました

アニメ批評を批判するシリーズ。 新しく取り上げるのは河野真太郎『戦う姫、働く少女』文庫増補版でごんす。 増補 戦う姫、働く少女 (ちくま文庫 こ-58-1) 作者:河野 真太郎 筑摩書房 Amazon 読み終えた感想は、端的に言って「ファック」である。あまりに酷…

杉田俊介先生が『週末批評』に寄稿していていちばん笑ったのは俺なんだよね

↓こちら worldend-critic.com 当ブログがネチネチと批判しているWebサイト『週末批評』に、さらにネチネチと批判している杉田俊介先生がとうとう寄稿してしまった。これは読まずにおれまい。 今回の杉田先生は『ゴジラ-1.0』『首』『すみっコぐらし ツギハギ…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその13(最終回) 宇野常寛、そして(アニメ)批評界隈への提言

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 個別で書きたいことは書き尽くしたので、まとめる。宇野先生への提言集の形で。もう10年以上前の本にこだわるのはおかしいと思…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその12 褒めている作品も何が良いのかわからない

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com そろそろ書くことがなくなってきた…。 7章から9章で、宇野先生が好きっぽいドラマと(少女)漫画が論じられている。宮藤官九郎と…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその11 アスカに振られるとか振られないとか母性とかレイプとか

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 前回予告した通り、セカイ系論の続き。宇野先生はセカイ系の定義として「「自己を母親的に全承認してくれる異性の所有」を志向…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその10 「セカイ系」論全般の難点

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 今回は宇野先生と『ゼロ想』というより「セカイ系」を扱ったゼロ年代批評全般の難点について書く。まだ私も研究途上なのでフワ…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその9 あるジャンルが流行るのはその時代の社会の反映ではなくみんなヒット作を模倣したがるからではないのか?

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 社会反映論についてまた少し書く。↓の記事なんかに付け加えて。 cut-elimination.hatenablog.com 本書では「バトルロワイヤル系…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその8 敵とか味方とかにこだわっているのは貴方では?

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 今回は短めに。作品論についてでなくちょっと引っかかった記述について。 批評でドラマやケータイ小説を取り上げるとオタクやオ…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその7 『ジャンプ』は本当にポストモダン化したのか?

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 今回は宇野先生の『週刊少年ジャンプ』論を取り上げまっせ。 ジャンプのことは1章や5章で論じられている。90年代にジャンプはそ…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその6 批評家の描いてほしいテーマを描いていないからといって低く評価するのはやめないか?─『仮面ライダークウガ』─(『チーム・オルタナティブの冒険』ネタバレあり)

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com 今回は宇野先生の『仮面ライダークウガ』論を批判する。『クウガ』は私は世代なのでめちゃ好きである。大人になってからも見返…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその5 社会反映論について追加コメント

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続きだけど cut-elimination.hatenablog.com ↓今回はこれの補足。 cut-elimination.hatenablog.com 前々回、松永先生のスライドを参考に社会反映論は方法論的に怪しい…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』徹底批判シリーズその4 図式的な作品解釈はNo─『エヴァ』と『ガンダム』─

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』 ゼロ年代の想像力 作者:宇野 常寛 早川書房 Amazon ↓これの続き cut-elimination.hatenablog.com これまで総論的なことばかりだったので今回は具体的な作品論に踏み込む。 前に『母性のディストピア』を読んだときにも思ったが…