哲学いろいろ
ひさしぶりに読んだ本を紹介しまっせ。重めの本をけっこう読んだ。 ラジャ・ハルワニ、江口聡・岡本慎平監訳『愛・セックス・結婚の哲学』 セックス哲学の入門書。2段組みでかなり分厚い。 思想史や社会学・人類学なんかの研究もおさえつつ、分析哲学の手法…
最近は文学をよく読んでいるけれど、それ以外の本もジワジワ読んでまっせ。紹介していきます。 松坂陽一編訳『言語哲学重要論文集』 フレーゲ、ラッセル、ドネラン、カプラン、エヴァンズ、クワイン、クリプキの有名な論文を集めて邦訳した本。哲学研究室で…
論壇で売れるには、以下に挙げる「善い」ものを顕彰し「悪い」ものを叩けばよいことに気付いた。ジャンルごとに挙げていく。 ジェンダー 意外といまの論壇でいちばん重視されるのはジェンダーの話題である。 善い 女 レズビアン ゲイ トランスジェンダー ク…
最近またムクムクと批評界隈への悪口が書きたくなってきているので書く。 『非美学』という本を出した福尾匠先生という人が東浩紀大先生への批判(本に対する東先生のコメントの仕方に対する反発)をトゥイッターに書き、そのやりとりに思想・批評界隈が敏感…
日本科学哲学会大会で線形論理についての研究を発表してきましたよ。いろいろとコメントいただけてありがたい。 全2日で2日目の発表だった。1日目は発表のことで頭がいっぱいになり(なんか発表内容におかしなところがあるんじゃないかと気付いてしまい)、2…
最近の哲学界では「分析的〇〇研究」というのが流行っている。〇〇の部分には昔の哲学者や哲学流派の名前が入る。英語圏以外の哲学者の著作を、分析哲学の手法によって読み解くという研究らしい。「分析哲学の手法によって読み解く」というのは、議論を論理…
投資の本を読むとライフプランを考えろとか書かれている。そういうのを見ると暗澹たる気持ちになる。親が死んで自分も働けなくなった後のお金を考えなきゃならないわけだが、そんな未来までお金に悩まされて生きることになるのか。社会にとって無価値になっ…
いろいろ本を読んでいます。 朱喜哲『人類の会話のための哲学 ローティと21世紀のプラグマティズム』 最近プラグマティズムや推論主義が流行っているし、それらの真理や論理への考え方がジラール思想と近いものがあるんじゃないかと思って、勉強のために読ん…
↓こちらに「「作画が良い」とはどういうことか」という拙論文が載っております。 フィルカル Vol. 9, No. 2 ―分析哲学と文化をつなぐ― ミュー Amazon 書店にも並んでいて、気が引き締まる思いであります。 タイトルの通り「作画が良い」というのが何を意味す…
作品を解釈するとは作者の意図を突き止めることなのか!? という論争がある。ある人はそうだと言うし、またある人は作者の意図は解釈に関係ないと言う。分析哲学でもそうした論争があって神雑誌『フィルカル』で特集されている(まだちゃんと読んでいないが…
前に清塚邦彦『絵画の哲学』という本を読み「描写の哲学」なるものを学んだ。 絵画の哲学: 絵とは何か、絵を見る経験とは何なのか 作者:清塚 邦彦 勁草書房 Amazon cut-elimination.hatenablog.com 描写の哲学の日本語論文は最近たくさん出てきているようで…
いろいろ読んだので紹介します。 本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』 スチュワート・シャピロ、金子洋之訳『数学を哲学する』 北村一真『英語の読み方 リスニング篇 話し言葉を聴きこなす』 清塚邦彦『絵画の哲学』 本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』…
タイトルに「いわゆる」とついてますが、言ってるのはたぶん私だけ… 先日こんなトゥイートをしたら、私にしてはよく見られた。 この本は哲学入門というより「偉い白人男性の言ったこと・考えたこと入門」て感じですな。ネオ高等遊民一度読んだら絶対に忘れな…
清塚邦彦『絵画の哲学』を読んでいる。 絵画の哲学: 絵とは何か、絵を見る経験とは何なのか 作者:清塚 邦彦 勁草書房 Amazon 第2章はエルンスト・ゴンブリッチという美術史家の理論の紹介・検討に充てられている。ゴンブリッチは哲学者ではないが、その後の…
人はなぜ子どもを作るのか? 考えてみるとけっこう謎である。(本記事では答えは出してないよ。) 当ブログでは「反出生主義」についてちょくちょく書いてきた。子どもを作るべきではないという思想である。しかし「反」を掲げる以前にそもそも人はなぜ子ど…
成田悠輔先生の「集団自決」発言がまた蒸し返されて再炎上している。アンチ成田としては嬉しい。↓アンチ成田記事は下から辿ってください。 cut-elimination.hatenablog.com 成田先生ももっとハッキリとした釈明コメントを出せばよいと思うのだが、プライドが…
前に書いた↓これの続き。 cut-elimination.hatenablog.com ↑ではSauer先生という人の論文と植村玄輝先生によるまとめ↓を取り上げた(Sauer論文のリンクは植村先生の記事内にあり)。 uemurag.hatenablog.jp 植村先生はその後もいろいろコメントを書いておら…
一年半くらい前に植村玄輝先生が紹介して話題になっていた論文を今さら読んだぞ! https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0020174X.2022.2124542 哲学史の研究は哲学の研究に不要と主張するHanno Sauer, "The End of History"という論文。といっても…
最近読んだ本を紹介するぜ! 森岡正博・蔵田伸雄編著『人生の意味の哲学入門』 掌田津耶乃『作りながら学ぶWebプログラミング実践入門』 次田瞬『意味がわかるAI入門』 立中順平『たてなか流クイックスケッチ』 森岡正博・蔵田伸雄編著『人生の意味の哲学入…
いろいろ本を読んだので紹介するます。 デイヴィッド・チャーマーズ、林一訳『意識する心』 鈴木貴之編著『人工知能とどうつきあうか』 ジョセフ・ヒース、栗原百代訳『資本主義が嫌いな人のための経済学』 沓名健一、小黒祐一郎『作画マニアが語るアニメ作…
またいろいろ本を読んだので紹介しまっせ。 氷川竜介『日本アニメの革新』 ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター、栗原百代訳『反逆の神話』 井奥陽子『近代美学入門』 氷川竜介『日本アニメの革新』 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 (…
最近はいろいろ哲学書を読んだ。紹介します。 なんか読んだ本を逐一紹介するスタイルにすると私があまり本を読んでいないことがバレるので、どばっと紹介します。 ロバート・ステッカー、森功次訳『分析美学入門』 西村清和編・監訳『分析美学基本論文集』 …
※本記事を書く前後でいろいろ教えていただいたことで、私の確定記述への理解もかなりあやふやだったことがわかりました。しかし「訂正する力」によってこの記事はどんどん良いものとなっています。 ゲンロンのイベントの動画の切り抜きツイートが流れてきて…
最終回! ↓これの続き! cut-elimination.hatenablog.com ↓これを読んでいくシリーズ! 現代思想 2023年7月号 特集=〈計算〉の世界 作者:森田真生,細谷曉夫,近藤和敬,フリードリヒ・キットラー,ユク・ホイ,谷村省吾 青土社 Amazon 今回はフッサールに関する…
↓これの続き。 cut-elimination.hatenablog.com ↓これの論考を一つずつ読んでいくシリーズ。 現代思想 2023年7月号 特集=〈計算〉の世界 作者:森田真生,細谷曉夫,近藤和敬,フリードリヒ・キットラー,ユク・ホイ,谷村省吾 青土社 Amazon ユク・ホイ「計算不…
↓これのつづき。 cut-elimination.hatenablog.com ↓これの記事を順番に読んでいくシリーズ 現代思想 2023年7月号 特集=〈計算〉の世界 作者:森田真生,細谷曉夫,近藤和敬,フリードリヒ・キットラー,ユク・ホイ,谷村省吾 青土社 Amazon 今回の3つの論考はどれ…
久しぶりに雑誌『現代思想』を隅々まで読みまっせ(「隅々」は言い過ぎだけど)。「〈計算〉の世界」という興味深い特集があったので。私は線形論理という計算機科学の文脈から出現した論理を研究しているわけだけど、論理の哲学というと言語との関連から語…
加地大介『もの』を読んでいます。 もの: 現代的実体主義の存在論 作者:加地 大介 春秋社 Amazon 71ページに公理と定理が載っているが、証明が省略されているので考えた。 公理KとTが使われているっぽい。ヒルベルト式で証明体系を与えて、本書の公理を追加…
ショーン・ギャラガー&ダン・ザハヴィ『現象学的な心 心の哲学と認知科学入門』(石原孝二ら訳、勁草書房)を読んだ。毎週1章読んで話すゆるい読書会にて。 現象学的な心: 心の哲学と認知科学入門 作者:ショーン・ギャラガー,ダン・ザハヴィ 勁草書房 Amazon…
集英社新書の田上孝一『はじめての動物倫理学』を読んだ。 はじめての動物倫理学 (集英社新書) 作者:田上孝一 集英社 Amazon 本書は肉食を中心に様々な動物にまつわる倫理的な問題を論じている。私は動物倫理学と肉食の問題には関心があった。最初に倫理学に…