曇りなき眼で見定めブログ

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最近読んだ哲学書を紹介するぜ!(分析美学、道徳、フッサール、ブランダム)

 最近はいろいろ哲学書を読んだ。紹介します。

 なんか読んだ本を逐一紹介するスタイルにすると私があまり本を読んでいないことがバレるので、どばっと紹介します。

ロバート・ステッカー、森功次訳『分析美学入門』

 現代の英語圏の美学・藝術哲学をまとめた分厚い教科書。いろいろなトピックでいろいろな立場の議論が網羅的に解説されているので何回も読み返すことになりそう。

 個人的にはダントーのアートワールド論など藝術の定義を巡る議論が興味深かった。ステッカーの独自の立場も強調されている。

 本書の最初のほうでさらっと美学と藝術というものは18世紀に確立したと書いてある。そのへんの事情は最近出た井奥陽子『近代美学入門』に書いてあるようなのでまた読みます。

西村清和編・監訳『分析美学基本論文集』

 ステッカー本の姉妹本的な。こちらは英語圏の美学・藝術哲学の重要論文の邦訳集。ダントーの「アートワールド」論文も入っている。けっこう難しい論文が多かった。

 ジェイコブソンという人の「不道徳な芸術礼賛」という論文が印象的だった。美学では作品の不道徳さは美的な欠陥であるとする説が主流らしいが、ジェイコブソンは不道徳だからこそ良くなる場合もあると論じている。このテーマはステッカー本でも論じられている。

ベンジャミン・クリッツァー『21世紀の道徳』

 デビット・ライスの名でブログをやっている評論家の単著。功利主義や動物倫理やジェンダー論や学問論・仕事論・人生論。

 いちおう哲学・倫理学の入門書なのだが、プロ哲学者とは違った切り口が随所にある。まず、古典の原典よりも二次文献を中心に参照しているところ。なので本格的な学問の入門には不向きな本かもしれないが、わかりやすいし明快で応用が効く。また哲学以外に進化心理学などいろいろな学問の知見が参照されていて視野が広い。それと現代社会というかネット社会への辛口な言及もちょくちょくある。

 私もダーウィニアン・レフトになろうかな。

富山豊『フッサール 志向性の哲学』

 フッサール哲学の入門書だが、主に『論理学研究』の志向性、もっというと意味に関する理論にほぼ特化した本。

 ロジックとかプログラミングの話題が出てくるのがおもしろい。同著者の計算に関する論考↓の哲学史的背景を掘り下げた感じの一冊。

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白川晋太郎『ブランダム 推論主義の哲学』

 フッサール本と同じシリーズの一冊で、推論主義のブランダムの解説書。こちらも意味について論じていて、フッサール本と同じく、単純な表象主義的意味論を批判している。

 最後のほうの想起の理論は難しかったのでもうちょっと考えてみたい。しかしそれを論じたブランダムの最近の本『信頼の精神』はおもしろそうで興味が湧いた。ついでにヘーゲルにも興味が湧いた。ルディクスとも相性が良さそうである(ジラール先生はこの本の後ろのほうの「世界への応答」は論理学には不要と考えているが)。相手に共感せず理解するという話は高畑勲の倫理思想と近いものもある。

cut-elimination.hatenablog.com

まとめ

 おもしろい本たくさん!

 もっと哲学っぽくない本も読みます。