曇りなき眼で見定めブログ

学生です。勉強したことを書いていく所存です。リンクもコメントも自由です! お手柔らかに。。。更新のお知らせはTwitter@cut_eliminationで

2022-01-01から1年間の記事一覧

【猛烈批判】杉田俊介『ジャパニメーションの成熟と喪失 宮崎駿とその子どもたち』という本を読んだので感想

↓前にこんな記事を書いた。 cut-elimination.hatenablog.com 杉田俊介という人のTwitterでのアニメ論が意味が分らなかったので批判した。しかし本人も「雑」と認めているものを揚げ足取りしては悪かったなあと思い、ちゃんとまとまった著書を読んでみた。そ…

【感想】『チェンソーマン』というアニメを見たぞ!

なかなかおもしろかった! cut-elimination.hatenablog.com ↑で漫画の『チェンソーマン』の感想を書かなきゃとか述べたが、アニメを見たついでに漫画の感想も書いておくよ。 物凄く大々的に広告を打ったりして、世間が一丸となってチェンソーマンを流行らせ…

ツンデレツンデレ言うのをやめませんかね…

ツンデレという言葉は本来は、ツンツンしていた人がある時からデレデレしだすという、態度の豹変を表すものだったのではないかと思う。しかし現在よく使われる用法は、本当は好意を抱いているのにそれを表に出せずツンツンしてしまう、みたいな感じだと思う…

『世界最先端の研究が教える すごい哲学』はすごい本だ!

みんな買って読もう! 世界最先端の研究が教える すごい哲学 総合法令出版 Amazon 私は最早哲学の入門者では無いが、入門書を読むのが好きである。当ブログでも入門書の紹介を充実させていきたい所存。 哲学を知らない人に勧められる本を今までもいろいろ考…

【感想】『ぼっち・ざ・ろっく!』というアニメを見た!

けっこうおもしろかった! ぼっち・ざ・ろっく! 1巻 (まんがタイムKRコミックス) 作者:はまじあき 芳文社 Amazon 原作の漫画をだいぶ前に試し読みした事があるのを第1話を見た時に思い出した。それぐらいヌルッと始まった本アニメだが、かなり若年オタクの…

【感想】『かがみの孤城』なるアニメーション映画を観てきた!

おもしろかった! 真田ファック!!!!! かがみの孤城 作者:辻村深月 ポプラ社 Amazon 私は原恵一監督時代の『クレヨンしんちゃん』を見て育った世代なので、相変らず矢島晶子さんも出演していて嬉しくなってしまった。原監督の映画はそこそこ見ている。『…

『フィルカル』のアニメ哲学を読む その3 滝沢正之・佐藤暁「佐藤暁「声優と表現の存在論」をめぐる往復書簡」

↓これの続き! cut-elimination.hatenablog.com なのだけれどその前↓に取り上げた佐藤暁先生の論考を巡る往復書簡である。滝沢正之先生という人が批判的なメールを送っている。 cut-elimination.hatenablog.com フィルカル Vol. 1, No. 2 ―分析哲学と文化を…

『フィルカル』のアニメ哲学を読む その2 稲岡大志「堀江由衣をめぐる試論─音声・キャラクター・同一性─」

↓これに続く第2弾! cut-elimination.hatenablog.com フィルカル Vol. 1, No. 2 ―分析哲学と文化をつなぐ― 作者:高崎将平,要真理子,松永伸司,稲岡大志,大谷弘,モリス・ワイツ,長門裕介 株式会社ミュー Amazon 今回は『フィルカル』Vol.1 No.2の稲岡大志「堀…

【感想】「DIY(Do It Yourself!!)」というアニメを見た!

めちゃおもしろかった! animestore.docomo.ne.jp ちょっと近未来の話らしい。DIYつっても本格的である。そして百合。 まず作画がけっこう良い。デザインはちょっとデフォルメ気味でシンプルで、コマ数は少ない(多いと言うべきか?)が偶にエッジの効いた動き…

MTJJ・寒木春華動画らが制作「万聖街」を見た!

めっちゃ良かった! animestore.docomo.ne.jp 「羅小黒戦記」の大フアンの私だが、同作のMTJJ監督が(共同)総監督となり、同作を制作した寒木春華動画が制作に携わったのが本作である。原作は漫画らしい。 コメディなのだが、日本的なものと思っていたボケ・…

『フィルカル』のアニメ哲学を読む その1 佐藤暁「声優と表現の存在論─〈棒〉とは誰か─」

『フィルカル』という哲学雑誌(ムック?)がある。 フィルカル Vol. 1, No. 1 ―分析哲学と文化をつなぐ― 作者:高崎将平,長田怜,河合大介,松本大輝,古田徹也,八重樫徹,佐藤暁,さとひろ,長門裕介 株式会社ミュー Amazon 分析哲学の割と本格的な論考から分析哲学…

「サイバーパンク: エッジランナーズ」というアニメを見た!

なかなかおもしろかった! www.netflix.com ネット・フリックスのアニメ「サイバーパンク: エッジランナーズ」を見た。 私はゲームを全然やらないのだけれど、「サイバーパンク2077」というおもしろゲームがあってその前日譚をアニメでやったらしい。けっこ…

数学基礎論アドベントカレンダー2022「1989年のGoI」

drive.google.com おるうぇ (@Alwe Logic@twitter) さん主催の「数学基礎論アドベントカレンダー」の22日目の記事です。私は哲学科の学生です。あまり数学基礎論ぽくなくてごめんなさい。 予備知識はシーケント計算とカット除去定理とカリー=ハワード同型を…

テレビアニメの金字塔「母をたずねて三千里」を見た感想

1976年のテレビアニメ「母をたずねて三千里」を見終えた。テレビアニメの金字塔であると思う*1。見返しつつ一話ごとに感想とか書きたいのだが、あのハッピーエンドを見てしまうと途中の辛い展開をもう見たくないなあ。という訳で簡単な感想を。 animestore.d…

動物(特に猫)に心はあるのかどうか─「もちまる日記」なるYouTubeチャンネルを見て考えてしまった

↓この動画をご覧ください。 www.youtube.com むぎまるという茶色の猫は一時的に預かっている猫で、去勢手術をした直後らしい*1。遺伝的には灰色のもちまるという猫の弟らしい。動画タイトルは「手術後の弟が心配すぎて一日中看病してる兄猫が優しすぎました……

「母をたずねて三千里」のオープニング曲の歌詞と映像の布石

1976年のテレビアニメ「母をたずねて三千里」を48話まで見た。全52話なのでもうすぐ終る。 animestore.docomo.ne.jp テレビアニメの金字塔であると思う*1。けれど詳しい感想は全部見終えたら書くとする。 今回はオープニング曲「草原のマルコ」について。こ…

"bureaucracy"ってなんて訳せばいいんですか?

ジラール先生が旧来のロジックを批判する際に"bureaucracy"だと言うことが多い。シンタクスを過剰に丁寧に議論することなどをこう言って批判する。で"bureaucracy"ってどう訳せばいいのだろう。 官僚制という意味だが、煩雑な手続きなんかを皮肉る際に使われ…

「THE FIRST SLAM DUNK」を観た!(天才井上!)

めちゃ良かった! スラムダンク コミック 全31巻セット (ジャンプ・コミックス) 作者:井上 雄彦 集英社 Amazon 私はスラムダンクの原作はだいぶ前に読んだことがあるがアニメはほぼ見ていない。なんか声優が替るとかで叩かれていたけど私は別に思い入れがな…

津堅信之『日本アニメ史』(中公新書)は良い本だ!

みんな買って読もう! 日本アニメ史-手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年 (中公新書 2694) 作者:津堅 信之 中央公論新社 Amazon アニメに関してはセンチメンタルな批評書はよく出るが研究書は稀である。本書は研究書というほどではないが研究者がな…

有名絵画にスープをぶっかける活動に怒る人が多いのは何故か?

分らない。 環境活動家がいろんな美術館で有名な絵画(ゴッホとかムンクとかクリムトとかの作品)にスープをぶっかけて何やら抗議活動をしている。今のところぶっかけるのはガラスの上からなので中身の絵画は無事だったというケースしか聴かないが。私は「ほ…

ネッカーキューブ錯視と線形論理の連言

ちょっとした思い付きです。 ネッカー・キューブというのは誰しも一度は見たことがあるであろう錯視図である。 ja.wikipedia.org 表示されてるかな? これは一つの平面図形が二通りの見え方をする、二通りの立方体に見える、という錯視である。一つの感覚入…

杉田俊介氏という人のツイートに対する難癖

杉田俊介氏という批評家が「すずめの戸締まり」を受けてTwitterに批評(のようなもの、と言った方が良いかもしれないが、まあ批評)を書いていた。それが良くない批評だと思ったので批判的に取り上げる。この人は弱者男性に関する本を出していて、私も弱者男…

ゲームハードの転売対策についての私案

前から思っていることをアウツプッツしておきます。 任天堂やプレステの新しいハードが出ると最近は転売が問題になる。私はそういう系のゲームを全くやらないのでぶっちゃけよく分らないのだが、まあなかなか手に入らなくて高額の転売品に手を出してしまう人…

「すずめの戸締まり」の感想!

まあまあおもしろかった! 神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫) 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 私は「言の葉の庭」を公開当時劇場で観た数少ない人間の一人である! 新海監督の映像美は毎度すごいと思うよ。なんだけど、正直言ってちょっともう慣れてきたか…

スマホの画面に傷がついた(画面に保護フィルムを貼ろう)

スマホの画面の保護ガラスに傷がついたので貼り替えようと思って新しく買った。Amazonで。古い保護ガラスを剥がしたところで新しいのを取り出したら、サイズが合わない。めちゃくちゃ自分にムカついたが仕方がないので今度はちゃんとサイズを調べて新しく注…

シーケント計算の完全性定理(線形論理)

前回こんなことを書いたけれど更に完全性定理について cut-elimination.hatenablog.com Troelstra先生の本を読んで線形論理の代数的意味論の完全性定理を勉強しているところなのだけれど、 Lectures on Linear Logic (Lecture Notes Book 29) (English Editi…

完全性定理の驚き

大西琢朗先生の以下のブログ記事が面白かった。 takuro-logic.hatenablog.com タフコ先生の論理的実在論に関する論文を批判している。形而上学の議論を論理学に当て嵌めただけで、論理学そのもののおもしろさを見逃しているのではないか、というような内容。…

不完全性定理と心の哲学について少し

不完全性定理やチューリングマシンの停止性の議論を使って人間の心は機械以上のものであると主張する人がちょくちょくいる。有名なのが大数学者・物理学者のロジャー・ペンローズ大先生である。モギケン先生もこう言っている。 チューリングマシンに万能性が…

【SPY×FAMILY】アーニャは何を読んでいるのか? マインド・リーディングと意識の哲学【心の哲学、現象学】

スパイ・ファミリーのアニメを見ている。マンガは読んでいない。アーニャが動き回るシーンの作画が良いと感じる。かわいい。まあ声の演技は媚びすぎだが。 本作の根本的な欠陥としては、最近のアニメにありがちだが、マンガ的な表現を何も考えずそのままアニ…

チューリングラブという曲の謎の理系観

ちょっと前に「チューリングラブ」という歌が流行った。 www.youtube.com 歌詞も映像も謎が多い。 コンセプトとしては理科系の言葉や発想で恋愛を歌うということなんだろうが、なんか「理系」というイメージのもといろんなものがごっちゃになっている。 アニ…