1976年のテレビアニメ「母をたずねて三千里」を48話まで見た。全52話なのでもうすぐ終る。
テレビアニメの金字塔であると思う*1。けれど詳しい感想は全部見終えたら書くとする。
今回はオープニング曲「草原のマルコ」について。この曲は私はアニメソング史上最高傑作だと思っている。アニメソングというのはこの当時はまだ幼児向けのもっさりしたものが多くて、80年代辺りからどんどんオシャレになっていく。1979年の「機動戦士ガンダム」と1984年の「機動戦士Zガンダム」ではオープニング曲の雰囲気がまるで違う。なのだけれどこの「草原のマルコ」は、童謡風でありながらオシャレでもあってそれが素晴しい。高畑監督の音楽センスもあるのかもしれない。2年後の宮崎駿監督「未来少年コナン」のオープニングはまたもっさりに戻っている。
さてこの曲の歌詞は70年代アニメソングらしくアニメの内容に沿ったものになっている。なのだが、歌詞と映像に合った物語が展開されるのは47話くらいからなのである。今風に言うと一年近くもオープニング曲の歌詞と映像で伏線を張って、その多くが47話で回収されている。原作小説を読んでいないので最初の頃は「全然オープニングと中身が違うじゃないの」ともどかしかった。
タイトルは「草原のマルコ」だが、草原を旅する話はシリーズ中盤のブエノスアイレスからバイアブランカへ旅するところからちゃんと出てくる。その後の旅は全て草原中心である。これはよい。
歌詞の最後の方で「はるかな北を目指せ」とあるのだが、マルコはイタリアからアルゼンチンへ行く訳で、イタリアから見てアルゼンチンは南である。ここがずっと不思議だった。しかもブエノスアイレスから今度は更に南のバイアブランカへ行く。「けれどマルコ お前は来たんだ アンデスに続くその道を」という歌詞もある。アンデス山脈はブエノスアイレスの北西の方で、バイアブランカは反対方向である。
しかしマルコは、バイアブランカからまたブエノスアイレスへ戻り、そしてそこから更にロサリオ、コルドバ、トゥクマンと北西へ進んでいく。このトゥクマンこそアンデスの麓の街なのである。トゥクマンへ旅立つのが45話。そして「ポンチョに夜明けの風はらませて」という歌詞があり、オープニング映像でマルコはロバに乗っているが、このポンチョとロバが47話で登場する。
このロバとポンチョは見る前からイメージとしてあった。漸くか…と思った矢先にロバは48話で死んでしまう。辛いです。
ロサリオからコルドバへ行くための旅費はイタリア料理店でカンパしてもらうのだが、このシーンもオープニング映像にそれらしきものが一瞬映っている。細かいなあ。
*1:「金字塔」ってピラミッドのことらしい。