おもしろかった!
観る前
私はコナンはテレビアニメをそこそこ見ている程度で、原作は読んでいないし細かい設定まで追えていない。そしてめちゃくちゃ久しぶりに劇場でコナンの映画を観た。前に観たときもけっこう久しぶりだった。前に観たのは『沈黙の15分』というやつで、犯人の動機と事件の規模がまったく釣り合っていなくて驚いたのを覚えている。私が何か見落していたのかな? と思ってのちのち調べてみると、コナン史上屈指のクズ犯人として有名らしい。ならばよかった。私の解釈は間違っていなかったようで。で、それ以降は劇場に行くこともないかなとなっていったのである。ただし金曜ロードショーでやっていると基本的に見てしまう。
しかし先日『緋色の不在証明』も観た。『緋色の弾丸』へ繋がるテレビシリーズのエピソードを再構成したやつである。なんだか私は最近コナンにハマっている気がする。赤井さん関係の情報をいろいろ収集して『緋色の弾丸』を楽しめる程度にわかってきていて、それで楽しくなっちゃっている私である。しかも金曜ロードショーで『異次元の狙撃手』という赤井さん(?)が登場するやつも事前に見た。
観た感想
コナン映画の特徴は、ひとつのモチーフをいろいろな方向へ展開していく構成の巧みさにある。このまえ金曜ロードショーでやっていた『天国へのカウントダウン』だとカウントダウンである。最初のほうで少年探偵団が目を閉じてストップウォッチで30秒を測るゲームをやっていて、これが最後の時限爆弾の伏線となる。今回の『緋色の弾丸』では弾丸(bullet)である。『異次元の狙撃手』で赤井さんの異名が「シルバーブレット(銀の弾丸)」であるという話が出てきた。それと、弾丸並みに速い超伝導リニアの異名が「ジャパニーズブレット」だというのとがうまく対応している。うまいかどうかはわからんが、まあうまいということで。
これ以外にも『異次元の狙撃手』のオマージュ的な演出やセリフがけっこうあった。金曜ロードショーで見といてよかったなあ。
へんな指摘かもしれないが、プレゼン的な演出が多かった。複雑な事件を言葉だけに頼らずに説明する演出であろう。人間関係や地理的状況をプレゼンテーションみたいに出すのである。『鬼滅の刃 無限列車編』の感想*1でもちょっと冗談まじりにそういうところを褒めたが、コナンでは意図的にそういった演出を多用しているようである。
『名探偵コナン』の良さは、あまり一般的な道徳を提示しないところにあると思う。コナンは世の中のために推理をするのではなく、ただのホームズマニアである。「犯人を死なせない」というのもあくまでコナンのなかの信念だから良いのだと感じる。赤井さんも「好奇心というなの熱病」らしい。あと恋愛感情とかふつうに仕事だからやっている人とか、身内や仲間の復讐だとか。最近はちょっと説教くさかったり湿っぽいマンガやアニメが目立つなあと思っていたので、ますますコナンの魅力が際立っているような現代である。
細々したところ
冒頭『カウボーイビバップ』かと思った。
模倣犯とか言っていたので笑い男事件みたいな感じかと思ったらぜんぜん違った。ただしメアリーが「赤いクルマを追え!」と言ったのはゴーストが囁いたからではないかと。
少年探偵団がふつうに有能である。
小五郎がふつうに探偵として仕事できている。
小五郎が蘭をツノで認識したっぽいところがあった。
「止まるんじゃねえぞ…」みたいなカットがあった。
園子がぐう聖。
灰原が赤井ファミリー以上に活躍していた。しかし灰原は実は赤井さんといとこらしいのでまあまあまあ。
最後のコナンの蹴りのシーンが今風な作画だった。クレジットにCloverWoksとかボンズ(ズンボ)とか書いてあったのであのへんの仕事なのか。わからない。
キャメルがちゃんと仕事を果してなおかつオチ要因としても使われてて嬉しかった。
後半の話は『ウルトラQ』の人工生命M1号の回みたいだった。
犯人の髪型がエスパー魔美だった。
コナン映画って…
コナン映画ってサスペンスというよりアクションである。緊迫感より派手さを重視している。そしてミステリーというより謎解きなのである。今回もトリックと推理とかは特になくて、重要なところはアナグラムだった。
観た後
その後、金曜ロードショーで『天国へのカウントダウン』を見て、翌日のテレビアニメも見た。それで思ったのだが、コナンが完結したらすごく哀しいだろうなあ。
『サザエさん』も『ドラえもん』も『クレヨンしんちゃん』も『ちびまる子ちゃん』も原作者がすでに亡くなっている。しかしアニメはずっと続いている。いくらでも話が作れるからだろう。しかしコナンは少しずつ話は進んでいる。物心ついた頃からコナンのアニメをやっていた世代である私には、コナンをやっていない世界を想像できない。『NARUTO』のようなストーリーものと違ってコナンは縦軸が進むときとそうでないときがある。だから『NARUTO』が終ったときのやり切った感はコナンにはないだろうな〜と思う。コナンは長編ストーリーでありながらサザエさん的なところもある非常に珍しいアニメなのである。
『天国へのカウントダウン』当時はコナンの正体を知っているのは5人だけだとオープニングで言っていた。しかし『緋色の弾丸』時点ではもっとぜんぜんたくさんいて、赤井さんみたいな正体を知ったうえで共闘するキャラも出てくる。話が進んでいるな〜。