すごすぎ。
研究室の若者に薦められて見た。某掲示板でも今期もっとも人気がある(いちばん話題なのはジークアクスだが、そちらは賛否両論なので)。
サンライズのオリジナルアニメで、吉田恵里香氏が全話の脚本を書いている。吉田氏の作風がかなり出ているのではないか。吉田氏と言えば『ぼっち・ざ・ろっく!』の脚本もやっていたヒットメーカーだが、昨年は朝ドラ『虎に翼』の脚本も担当し高く評価された。『虎に翼』は私は見てないのだけど、現代にも通じる社会問題をどんどん話に組み込んでいって話題になっていた。
本作『前橋ウィッチーズ』は現代の10代の女子の悩みや苦境がどんどん描かれる。特にルッキズム(というより見た目に対する偏見とコンプレックス)やヤングケアラーの問題など。作り手や主人公たちの視点はしっかりとフェミニスト的である。しっかりとフェミニスト思想を持って社会問題を扱う作品は、海外のドラマなんかではよくあるが、日本のアニメでは異例である。史上初と言っていいだろう。
そうした社会問題の扱い方や人間の描き方は、SNSを斜に構えて見ている私からすると、やや素朴すぎる感じはする。よく大手メディア作品がSNSでポリコレ的観点から批判されるが、そうした批判を分析して、それを回避することに全力を注いで作られた話のように思えなくもない。そういうのが透けて見える吉田氏の政治姿勢を私は批判というか揶揄したこともある。
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私はもっと複雑で意図が掴みづらい作品こそ優れた芸術だと思っている。
なのだが、普通の深夜アニメでこうしたタイプの作品が生まれたことは、たいへん画期的である。当ブログで繰り返し批判しているけど、昨今は作り手の自我ばかり肥大したアニメが多すぎるのである(セカイ系ブームの頃からそうかもしれんが)。社会にテーマを見出した本作は、アニメというものの可能性を感じさせるものだった。吉田氏はアニメ界にとって稀有な存在である。
それに、キョウカとチョコが和解する回なんてドラマとして非常におもしろかった。それぞれが向き合った問題を理解することで相手のことを理解するようになるという筋だったが、社会的な問題の重大さと物語とがちゃんとリンクしている。キョウカが市長を目指すという点に本作の良さが詰まっていると思う。具体的に外の世界と闘おうとしている。
もうちょっと細かい点も書いておく。キャラクターデザインが今風でかわいい。毎回ラストにショックが起こる構成もおもしろかった。あと、つんく作詞のオープニングも素晴らしい。
