曇りなき眼で見定めブログ

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【ビーガンへの道】田上孝一『はじめての動物倫理学』を読んで勉強しました【コオロギ】

 集英社新書田上孝一『はじめての動物倫理学』を読んだ。

本書は肉食を中心に様々な動物にまつわる倫理的な問題を論じている。私は動物倫理学と肉食の問題には関心があった。最初に倫理学に入門したのが伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』だったというのもあり。

あと田上先生はマルクスの研究家なので、マルクス哲学を動物倫理学の観点から考察した章もある。また教科書ではないので伊勢田先生の本ほどシステマチックに書かれておらず、読み物という感じ。しかし田上先生は、権利概念を動物にまで拡張するのは自然だ、という論点に絞っていて、明確で解りやすい。そして伊勢団先生の方が中立で、田上先生はかなり肉食やその他の動物虐待に批判的である。田上先生の本は伊勢田先生の本よりも新しいので、最近のビーガンの動向なんかも触れられている。

 けっこう前にメンタリストDaiGoさんがビーガンを「論破」する様を取り上げて批判した。

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やはり日本人の俗流動物倫理学では「いのちを殺める」という点に重きが置かれるのだが、それよりも(それに加えて)生きた動物への扱いが問題となろう。具体的には田上先生も重点的に取り上げているCAFO(大規模で集中的な工業畜産)の虐待性である。あと環境への負荷や安全性も問題となる。それとDaiGoさんも『美味しんぼ』の山岡さんも言っていたのが「植物も生きている」という話だが、まあ植物は神経とかないので動物のような問題にはならないだろう*1

 田上先生はシンガー先生の種差別の議論を評価しつつも功利主義では権利を確立できないとし、レーガン先生の動物権利論をより高く評価している。しかし私は功利主義に惹かれるところがあって、権利というのがそれほど大事なのか? とちょっと思っている所がある。次はシンガー先生の『実践の倫理』を読もうかな。

原書は更なる新版が出てる模様。

 DaiGo批判記事では恥を忍んで私はビーガンではないと書いた。これは私にはそんな意志の強さがないからである。しかし田上先生は、現代日本でビーガンになるのは難しいので、まずは肉食を減らす事から、と書いていた。これには救われた(とか言ったら厳格なビーガンは怒るだろうが)。私も肉でなく豆腐を食べるように取敢ずしはじめた。だが乳成分を控えるのはなかなか難しい。

 最近は何故か政府がコオロギ食を推進しだして叩かれている。畜産は餌を肉に変える効率が悪くそれが環境への負担になったり家畜への虐待になると本書で述べられている。コオロギはその点まだましなのだと思われる。しかしだったら動物でなく動物に飼料として与える植物を直接食べれば良いんでないか。まあいろいろと農業の仕組みの問題もあろうが。

 

 それと動物園や水族館にも行かないようにしようかな。しかしこういうのを無くしていった結果として人類がギスギスして世界大戦の遠因になるという事はないのかな、とちょっと思った。でもそういう事がないように理性に訴えて考え方を変えさせるのが哲学とかこういう哲学入門書の役割なのかもしれない。

 

 マルクスにも興味が湧いた。「物質代謝」という言葉が出てきたけどこれは斎藤幸平先生の本のタイトルにも出ている。カッコイイ言葉である。

斎藤先生は売れてるけど、

それより田上先生のマルクス入門書を読もうかな。

 こうやってアソシエイト・リンクをペタペタ貼るのも資本主義の奴隷という感じで浅ましい事である。

*1:山岡さんは反捕鯨活動をするオーストラリア人を騙し鯨肉と知らせずに鯨肉を食べさせて「おいしい」と言わせる鬼畜の所業を行なっていた。