良い本なので買って読みましょう。
ステファン・コイファー&アントニー・チェメロ著、田中彰吾&宮原克典訳。毎週1章ずつ緩く議論しながら読んだ。
現象学をカントの哲学とヴントの心理学から歴史を追って解説し、身体性認知科学の展開へと繋げる異色の入門書。フッサール・ハイデガー・メルロ=ポンティ・サルトルという現象学四大スターの他、ゲシュタルト心理学やギブソンのアフォーダンス理論やドレイファスの人工知能批判を解説する章も。
個人的にはサルトルに興味を引かれた。自己欺瞞とか不安とか面白い。
ここで述べられている身体性認知科学というのは認知科学において主流の研究ではないと思うが、アンディ・クラーク先生のような哲学と越境しているような人たちの間では有力視されていて、私も関心を持っている。エナクティヴィズムなんかも面白そうである(ヴァレラらの研究とアルヴァ・ノエ先生なんかがどちらもエナクティヴィズムだと思っていたがこれらはけっこう違うらしい)。