曇りなき眼で見定めブログ

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人はなぜ子どもを作るのか?

 人はなぜ子どもを作るのか? 考えてみるとけっこう謎である。(本記事では答えは出してないよ。)

 当ブログでは「反出生主義」についてちょくちょく書いてきた。子どもを作るべきではないという思想である。しかし「反」を掲げる以前にそもそも人はなぜ子どもなんか作るのだろう?

 たいていの生物と違い、人間が子どもを作るのはなかなか大変な意思決定の末のことである。本能的な欲求の赴くままセクロスをして身籠って出産するわけではない。子どもを育てるのは大変だとわかっているし、出産までのプロセスも大変である。なぜわざわざそうと知っていて子どもを作りにいくのだろう。

 まず夫婦が子どもを欲しいと思うわけだが、なぜ欲しいと思うのだろう? これがそもそもそんなに自明ではない。どういう動機で子どもを欲しがるのか(どこかに調査があるかもしれないので知っている人は教えてください)。まず思いつくのは「かわいいから」である。昔だったら「働き手にするため」とかがあったかもしれない。もう少し現代にもありそうな観点だと「老後に養ってもらうため」とかか。それと「常識だから」「大人のつとめとして」というのも大きそうである。いずれにせよそれほど「これだ!」とハッキリするものはない。

 さて、子どもが欲しいとなったとして、ではそれを作るのはなぜだろうか? 普通に考えて、欲しいとしてそれをガチで作りにいくだろうか? カレーが食べたいからカレーを作るというのとは訳が違う。人間の子どもを作るのだから。もうちょっと専門的なことを言うと、個人の「欲しい」という欲求を満たすための(単なる)手段として子どもを作るというのはカントの定言命法に反していてアカンのではないか、というような議論が↓の本にある。

 人間は何十年も生きて、当然その人生のなかには辛いこともある。それをわかっていて、上記のような理由から「欲しい」と思っただけで作るだろうか? 本当に「欲しいから」という理由で作ってしまうものなのか、私には疑問である。

 この私の感覚は、実は現代の多くの国の多くの人びとの間で実は共有されているんじゃないかと睨んでいる。だから世界的に少子化の国が増えているじゃなかろうか。少なくとも「ある程度の年齢になったら結婚して子どもを作る」という常識はすでに多くの先進国で崩壊していると思う。