曇りなき眼で見定めブログ

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「現代思想」の反出生主義特集を読むその4 佐々木閑、島薗進、戸谷洋志

 連続投稿! シリーズ第4回!

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 今回取り上げる3つの論考は正直言ってどれもあんまりよくわからなかった。どれも私の勉強してきたこととは違う分野の話なので。まあでも一応メモを。

佐々木閑「釈迦の死生観」

 僧侶で仏教学者の著者による釈迦の思想の解説。私は仏教のことをよく知らないので普通に勉強になった。

 しかし反出生主義とはそれほど関係がないように思えた。最後のほうでベネターが取り上げられるのだがその解釈はなんだか変で、佐々木先生は『生まれてこないほうが良かった』を読んでないんじゃないかとちょっと疑ってしまう。そんな感じだった。

 ただ、

生きることを苦であると自覚した人にとって子供は、自己をその苦しみの世界に縛り付けるくびきとなるので、作ってはならず、作ったなら捨てねばならない。(162ページ)

とあったのはなるほどと思った。

島薗進「生ま(れ)ない方がよいという思想と信仰」

 ユダヤ教キリスト教イスラームグノーシス、仏教、日本仏教などといった宗教の思想はそれぞれ、産むことを肯定したり否定したり様々であるらしい。情報が豊富な論考であったが特にコメントはない…。勉強になりました。

戸谷洋志「ハンス・ヨナスと反出生主義」

 ハンス・ヨナスは独創的な哲学者だがグノーシスの研究者でもあり、私はグノーシス関連の本をちょっと見たことがあった。私が知っているのはそれくらいである。戸谷先生の研究・解説書をよく本屋で目にするが読んではいない。

 独創的な哲学者といっても独創的すぎるように思った。私があんまりこういう大思想家のような人の本を読まないからかもしれないが、けっこう議論に違和感はある。独りよがりすぎて説得的でないように思うのだ。そういう人のテクストをのちの研究者たちが頑張って読み解くというのは人文科学ではよく見られる光景だが、果して健全なことなのかどうか。私にはまだよくわからない(まあ私もジャン=イヴ・ジラール という大論理学者のテクストを頑張って読もうとしているわけだけれど…)。

 存在論的命令というものの定義がいまいちわからず、全体的にもよくわからなかった。難しい論考である。

 乳飲み子が呼吸によって当為を喚起するというのはやや詩的すぎると思ったがなかなかユニークでおもしろくもある。

 しかし子どもを作ることが責任とか命令とか義務とかいうのはなかなか暴力的な結論である。私は子どもを育てる自信なんてないし結婚する自信もないのだが、そんな私も子どもを作らなければいけないのだろうか。私という個人に課せられた義務ではないのかもしれないが。

まとめ

 難しかった。精進します。