曇りなき眼で見定めブログ

学生です。勉強したことを書いていく所存です。リンクもコメントも自由です! お手柔らかに。。。更新のお知らせはTwitter@cut_eliminationで

総説・現代日本のカウンターカルチャー(随時アップデート予定)

総説

 先日、弱者男性論客として有名な「小山」先生がこんなツイートをしていた。

実際今どきの高学歴男子ってこういうチンポ騎士ばっかですよね。盲目的に権威に阿り党派に順応して独自性あるカウンターカルチャーを築けるような個性は持ってない。「変人でも天才でもない単なるモヤシのガキ」という評は完全に正しい。 https://t.co/AYCejEyeyU

— 小山 (@iikagenni_siro_) 2023年9月23日

相手は灘高校の生徒らしい。灘高校で地元女子大生が性教育の授業をやったというニュースについて論争になっている。興味深いのは、女性の生理について皮肉めいた罵倒をすること、あるいはそうした態度を小山先生が「カウンターカルチャー」と述べている点である。そういうインセル文化みたいなのってカウンターカルチャーだろうか? 案の定次のように書いている人がいた。

小山狂が偉そうに「カウンターカルチャー」とか抜かしてたけれど、お前らみたいなホモソミソジニーはカウンターされる側なんだよとしか。

— イナモトリュウシ ∃@🇵🇸Solidarity with Palestine (@inamoto_yksp_tw) 2023年9月24日

この人(はどうもフェミニストというわけでもないようだが)からするとホモソーシャルとかミソジニーを打倒するフェミニスト文化がカウンターカルチャーということになる。

 直観的にはフェミニストは反体制な感じがするので後者の方が正しい気がするが、近年ではそうでもないというのはよく言われ出しているらしい。カウンターカルチャーと言えばこの本、ヒース&ポター『反逆の神話』の2020年版の序文で、カウンターカルチャーが右派から左派に移ったということが論じられている。この前ヒース先生がテレビに出たときもそうした話をしていた。

カウンターカルチャーというのはルールを否定する思想を持っていて、けれども左派の方がキャンセルカルチャーなどでルールを押し付けるようになってきているので、右派がカウンターする側になっているという。その象徴がトランプ大統領の誕生だとか。で、確かに小山先生の口の悪さは、左派的な道徳の押し付けへの反逆でもあるのかもしれない。

 『反逆の神話』の原著は2004年に出ている。その後の2020年版の序文で認めている通り、上の議論も含めて、同書は理論はさておき取り上げるカウンターカルチャーは古くなっている。特に同書では、カウンターカルチャーの特徴としてルールの否定に加えて消費社会への反逆を挙げているが、これは(やはり2020年版序文で認めている通り)もはやカウンターカルチャーにとって重要でなくなっている。そんなわけで本記事では、カウンターカルチャー論を現代日本に置き換えてアップデートすることを目論むよ。

 『反逆の神話』はカウンターカルチャーを批判する本で、特にカウンターカルチャーの根本の思想が間違っているという。思想というのは、欧米は消費主義に支配されているとか、それがルールを押し付けて人間本性を抑圧しているとか。そういうのを経済学の知見なんかを使って批判している。しかし前述の通り消費主義の支配みたいな考え方は現代では退潮気味で、それは日本でもそうだと思う。

 で、代りに勃興していると思われるのが、やはりポリティカル・コレクトネスとかといういうものへの反逆だろう。だが日本では欧米ほどキャンセルカルチャーは強烈ではない(と思うけどどうなんだろう)。よってフェミニストもいまだカウンターカルチャーらしさを持っていると思う。なので冒頭のように両陣営が自分をカウンターカルチャーだと主張したがっているのが日本の現状である。敵を体制側だということにしたがっているのである。

 両陣営に共通するのは「自分たちは体制側の欺瞞に気付いている」という感覚だと思っている。反消費主義でなく。体制側は欺瞞を使って無知な大衆を抑圧していて、そのことに気付いているという特権意識、言うなれば「頭良いアピールしたい欲」がこの人たちの鼻息を荒くさせる原因だと思う。これが行き過ぎると陰謀論になる。ただし、小山先生ら弱者男性論壇は、陰謀論まで行きすぎてはいない。まだマシな人たちだと思う。

 「体制が大衆を抑圧している」「(消費主義でなく)欺瞞こそが体制であり、我々はそれが欺瞞だと気付いている」これらをポイントとして、いろいろな現代日本カウンターカルチャーを見ていきましょう。

左派カウンターカルチャー

 まずは正統派カウンターカルチャー(というのも変だが)である左派方面のカウンターカルチャーを見ていく。この派の人たちの敵は昔は消費主義だったが、今は経済面では新自由主義を批判しがちである。それと男性優位社会、いわゆる家父長制とかを敵とする。これらの作り出す社会の欺瞞に気付いている、というのが左派カウンターカルチャーの源泉である。

 それと原発事故などとからめて科学主義を批判することもある。これは別章で扱う。

古き良き左派文化論の生き残りとしての反資本主義・新自由主義論壇

 当ブログが大好きな杉田俊介先生とか、あと今度ちゃんと読んで難癖つけようと思っている河野真太郎先生とかである。

 こやつらは文学が専門なのに雑な政治経済の知識で資本主義や新自由主義の批判をするという特徴がある。しかも何故かアニメを論じたがる。アニメも雑な知識しかないので、わけわからん本が生れてしまう。

 ↓この本は酷いので読んではいけない(というのは遠回しに「読んでみてね」という意味ね)。

↓書評?

cut-elimination.hatenablog.com

↓この本は立ち読みした限りでは酷い本なので、今度ちゃんと読んで批判しますね。

 この人たちは資本主義あるいはその現代的な発展形たる新自由主義という悪しき巨大なシステムが世界を支配していると思い込んでいるフシがある(新自由主義がなんなのかって実は私もよく知らない(無知の知))。それなら経済政策を積極的に提案すればいいのに、何故か文学とかアニメとかばかり参照しているというのもヒース&ポターが描いた通り。そしてアニメをやたら深読みして「隠された新自由主義の文化への反映」あるいは「隠された新自由主義への批判」を読み取ろうとする。私には陰謀論紙一重に見える。

 あと最近は「ケア」という概念を推している。

 私のTwitter友達の「くちなし」先生のブログも参照ね(くちなしさんは私ほど露悪的ではないよ)。

kozakashiku.hatenablog.com

ツイフェミと化したフェミニスト

 フェミニストへの批判は『反逆の神話』にもあったが、現代日本フェミニストはやたらとインターネット特にTwitter(X)で目立つ存在になっている。いわゆるツイフェミという奴である。インターネット上の人びと、あるいはもっと一般世論の間でうっすらと「漫画やアニメに文句を言って規制しようとする人たち」というイメージがついている。つまり抑圧する側に、少なくともイメージ上はなってきている。

 しかしフェミニストたちはやはり家父長制という悪しき体制と戦っているという意識があるのだと思う。これについてもやはり戦うべきは漫画やアニメではないと思うのだが、かといってほっとけというのも違うし、難しいところである。

 ツイフェミには、ハリウッドや韓国のやたらと多様性に配慮した映画を褒める人が多い。これは反新自由主義系の人にも当てはまる。日本の文化がダメなのは家父長制に縛られている、そのことに「私は気付いていますよ」とアピールするかのようにポリコレ映画を褒めるのである(美徳シグナリングというやつの一種だろうか。しかし私は美徳というより頭良いアピールにも思える)。

 世界の歴史上なんだかんだで女性の地位向上は誰かの頑張りで達成されてきたので歴史を知っていればいるほど批判しにくくなるという点が、フェミニストを増長させているような気もする。

 ↓これは悪くない本です。

アベ政治を許さない系文化人

 安倍政権が長期化した結果、反安倍勢力もどんどん先鋭化した感じがある。政策への批判というより安倍という絶対悪との戦いみたいになり、安倍政権が日本人の思想まで汚染していると思い込む人が多く、カウンターカルチャー化した。

 反原発とか反改憲など政治的な話題を好むが、フェミニストと結託して二次元文化を燃やすことも多い。東京新聞の望月記者なんかを見ると反科学的な傾向もある。

 最近は統一教会が大きな標的となっている。

れいわ新選組など

 最近はれいわ新選組という経済政策重視の反逆勢力が出てきた。これは良い傾向だと思う。

 しかしやはりアベ政治を許さない系と結びついており、反原発・反放射能思想が強すぎてアカデミズムを軽視する傾向もある。反ワクチンの傾向もある。

 経済方面でも財務省を巨悪と設定して「ザイム真理教」とか呼んでいて危なっかしい面もある。れいわ支持者は「財務省こそが日本を蝕む悪だったのか!」と変に目覚めてドライブしてしまっているっぽい人もけっこういる。が、反資本主義とかフェミニストのような歴史的とともに凝り固まった思想とは違うので、オルタナティブとして注目である。

安倍晋三語録

 私が最近ハマってるカウンターカルチャーはこれ。

 5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)というとネトウヨのイメージがあるかもしれないが、今はそうでもない。

 ここ数年は5ちゃんねるで最も人が多い板は「なんでも実況J(なんJ)」だったが、2022年3月頃にシステムトラブルで住人が「なんでも実況G(なんG)」に移った。その後いわゆる「Jane山下の乱」やスクリプト攻撃を経て、なんやかんやで今は「なんでも実況エッヂ」という5ちゃんねるでない掲示板に元住人が集まっている。

 そのエッヂで流行っているのが、安倍晋三語録である。wikiもある。

w.atwiki.jp

 なんGの次に勢いがあったのが「ニュー速嫌儲(嫌儲)」という板だが、ここは何故か左翼が多い。特に安倍晋三を愚弄することに命を賭けている人がたくさんいる。その結果、嫌儲民(ケンモメン)は誰よりも安倍晋三語録に詳しくなってしまった。なんG民も嫌儲のノリを真似て安倍晋三の語録を使って安倍晋三イジリをすることがあったが、2022年7月の安倍晋三殺害事件以降、それが激化した。その流れがエッヂでも続いているわけである。

 ケンモメンやエッヂ民は、安倍晋三殺害以降話題になった統一教会との癒着や東京五輪汚職から、与党政治家や上級国民を憎んでいる。憎しみのあまり安倍晋三語録が脳に焼きついてしまったのである。ちなみに上級国民とは嫌儲発の言葉らしい(五輪エンブレム盗用事件の際に広まった言葉だとか)。

 まあいいじゃんそういうの。

外山恒一

 外山氏はよく知らないのだけれど、いかにもカウンターカルチャーの人で、政治運動にもアングラ文化にも影響力があるらしい。昔は管理教育に反逆していたとか。

 左派かと思いきやファシストを自称していて最近はもはや左派なのか右派なのかよくわからなっているが、それが現代のカウンターカルチャーの混迷を表している。

 今でもよく覚えているのだけれど私が初めてYouTubeで見た動画が外山氏の政見放送だった。昔のネット文化とも親和性があった人だと思う。

右派カウンターカルチャー

 冒頭に述べた通り、現代では右派のカウンターカルチャーの存在感がある。小林よしのり戦争論』は私もハマったことがあるが、これによって左派こそ反戦平和を装って日本を支配し抑圧していると目覚める人が出てきた。

 近年ではフェミニストの萌え表現批判やキャンセルカルチャーにカウンターしたがる人が多い。

弱者男性論壇

 冒頭で引用した小山先生とかあと白饅頭氏など。フェミニストというか女性一般、および女性に阿る男性を抑圧者のように考えて敵視している。ツイフェミたちとトムとジェリーのように毎日同じような論争を飽きることなく続けている。

 何故か皮肉や悪口を好む人が多いのが謎。

 杉田俊介先生は弱者男性を左派の立場から説教するので弱者男性論壇では嫌われている。

 しかし反アベ勢のような陰謀論ぽい感じはあまりない。ちょっと怪しいときもあるが。

表現の自由戦士

 これはけっこうメディアを賑わせている。弱者男性論客でもある青識亜論さんとか。青識さんは元は2ちゃんねるネトウヨ系の板のコテハンだったらしい。いろいろ繋がってくる。

 表現の自由戦士は、やはりフェミニストの表現への抑圧、特に漫画やアニメやそれを使ったポスターへの抗議に、さらにに対抗する人たちである。先述のように欧米ではキャンセルカルチャーが激しく、右派がそれに対してカウンターしているらしいが、その(やや)ささやかな日本版という感じか。欧米のネトウヨは日本のオタク文化が好きな人も多いらしいしやはり似た人種なのだろう。

 私はアニメが好きだが高畑勲監督とか山田尚子監督の良識あるアニメが好きなので、ちょっと冷めた感じで見ている。

 最近だと、フェミニスト団体を攻撃していた暇空茜さんという謎のネット民が注目されている。この人は怖いのであまり触れたくないのだけれど、現代日本カウンターカルチャーの象徴なんじゃないかと思う。フェミニスト朝鮮人と結託して日本を支配しているとか、巨悪と戦う妄想みたいなことをTwitterに書いている。しかしもしかしたら妄想ではなく戦略で、そうやって信者を釣っているのかもしれないが。最近はジャニオタとも結びついて地獄みたいになっている(ジャニオタにはメディアが反日勢力と結託してジャニーズを潰そうとしていると「目覚めて」しまった人が多い)。

 この人たちも安倍晋三が好きな傾向にある。

古き良きネトウヨから反緊縮ネトウヨ

 ↓こういうような意見もたまに見かける。

百田尚樹とかある種の右翼思想だと思ったら間違える話で、あれはカウンターカルチャーとしての左翼文化なんですよ。

— ミスター (@hahaha8201) 2023年11月12日

賛成である。ただ本記事の立場からすると右翼にもカウンターカルチャーがあるわけなので、ちょっとニュアンスが変るか。しかし、要するに左派とか朝鮮人とかそういうのが日本を裏で操って自虐史観を植え付けている、みたいな感覚でいるのである。

 百田尚樹先生は日本保守党とかいう政党まで立ち上げてしまっている。トランプ支持者の濃い人たち、いわゆるオルタナ右翼の日本版か。ただ支持者は若者とは限らない。2000年代からいる古き良きネトウヨが、岸田総理を嫌ってこのへんを支持してるんでないか。

 トランプ氏はワクチンを奨めてたと思うが、右派の陰謀論者も反ワクチンは多い。百田先生もその感じがある。

 陰謀論系右翼政党としては参政党というのがけっこう巨大になっている。参政党支持者もれいわ支持者と同じで「ザイム真理教」とか言って反緊縮の人が多い。右派とか左派とかあまり関係ない例である。

 前述の通り5ちゃんねるにはネトウヨがいなくなってきているが、まだニュース速報板とかニュース速報+板には古き良きネトウヨがいる。

 また5ちゃんねる現管理人のジム・ワトキンス&ロン・ワトキンス親子がQアノンの教祖Qの正体ではないかとか言われているが、定かではない。

ザイム真理教

ザイム真理教

Amazon

反アカデミズム

 論文を書いたり学術書を書いたりしてアカデミアに認められるのは大変である。私も苦労している。苦労が行き過ぎると「アカデミズムは日本を支配し抑圧している」みたいな気持ちになってカウンターしたくなる。わかる。

 またアカデミアの外の人からすると、何を言ってもアカデミアの人たちが文句を言ってくるのにウンザリとかあるだろう。

 しかし、アカデミアの融通の効かなさは合理的な面もあろう。アカデミア特有のルールとか厳格さのおかげで学問は正常に保たれているのである。

ゲンロン界隈

 東浩紀先生は政治経済についてはそんなに偏っていないが、専門の哲学となると途端におかしくなる。アカデミズム全般を敵視して、自分はアカデミズムとは違うことをやっていると強調し、読者たち(ゲンロン友の会の人たち)に「あなたは気付いていますよね」的な態度を見せて囲い込もうとする。アカデミック系カウンターカルチャーである。

 私と東先生のかかわりは↓を参照。

cut-elimination.hatenablog.com

土偶を読む』

 『土偶を読む』という本が話題になったが、その後さらに『土偶を読むを読む』という批判本が出た。双方ちょっとずつ読みました。

 『土偶を読む』の方の著者の竹倉史人先生はアカデミズムや専門知への反感があるらしく、カウンターカルチャー的に本をプロモーションしていた。↓いとうせいこう氏と政治学者の中島岳志先生との鼎談がある。せいこう氏と言えば日本語ラップの元祖の一人で、本場アメリカのカウンターカルチャーであるヒップホップを日本にもたらした偉人である。中島先生は偉い学者だが反アベ的な安易さも感じさせる人。

globe.asahi.com

globe.asahi.com

↑専門知批判に加え、贈与を論じているのは反資本主義っぽいし、原発の話題も出ている。

 東先生のゲンロンのイベントに竹倉先生が出演したこともあった模様。まだ『土偶を読むを読む』が出る前のことなのでゆるしてやろう。

橋下徹など維新ポピュリスト

 右派カウンターカルチャーに入れた方がいいかもしれない。

 橋下徹は典型的なポピュリストだが、敵として人文系学問を設定することがたびたびある。

 という話が↓この本にちょっと出ていた。

ネットメディア系

 アカデミズムに加えて、大手メディアを支配者のように考えて反逆するのが、現代カウンターカルチャーの最前線である。大衆の反逆への欲望を上手くビジネスに変えている人が多い印象。

ひろゆき、成田悠輔など

 現代日本カウンターカルチャーの担い手でもっとも影響力があるのは西村ひろゆき先生だろう。2ちゃんねるを作った人で、後述のニコニコ動画の立ち上げにも関わっている。英語圏の右派カウンタカルチャーの温床である4chanという掲示板の管理人もやっている。2ちゃんねるは前出のジム・ワトキンスに乗っ取られて5ちゃんねるになった(乗っ取られた原因はひろゆき先生が仕事をしなさすぎて実質的な管理の権限を持っていなかったからとか噂されているが、よくわからない)。

 現在の5ちゃんねるやエッヂにはひろゆき先生を尊敬している人はまずいない。この点は勘違いされがちなので気をつけてもらいたい。「ひろゆき的=2ちゃん的」ではないのである。

 2ちゃんねるは初期のネット文化のアングラな感じを象徴する掲示板で、ひろゆき氏も昔はそういう人だったと思う。しかし現在のひろゆき先生は「オイラは頭いいです。頭のいいあなたならそれがわかりますよね?」的なビジネスをやっている。私の思うカウンターカルチャー的な「欺瞞に気付く」ことを促すビジネスである。しかし明確な敵を設定せずに「なんかすべて知ってそうな雰囲気」だけで勝負しているのがすごいところ。フェミニストにも自民党にも維新にも挑んでいるが、陰謀論的なことはあまり言わない。アカデミズムを明らかに軽視していても敵視はしていないが、これは単に学問というものを理解するだけの知性がないだけなのかもしれない。

 ひろゆき先生の友達に経済学者の成田悠輔先生がいる。この人は個人的には大嫌いである。眼鏡がいかにもウケ狙い、天才アピールで痛いから。

 成田先生はひろゆき先生と違って学問をちゃんと修めた人だが、メディアでは「オイラは頭いいです。頭のいいあなたならそれがわかりますよね?」的ビジネスをしている。大手メディアや良識的な文化人の言うことを欺瞞として冷笑してみせ、「老害」とか陳腐なネット用語を使ってアジテーションする。現代的な新しいカウンターカルチャーの人だと思う。

 この二人をよく起用しているネットメディアABEMAや元テレ東の高橋プロデューサーは「既存の大手メディアにはできないことをやってやる」というカウンター気質を持っていると思う。これらを好んで見る人らはまるでひろゆき&成田の信者みたいになっていると見受けられる。

 他にもメンタリストDaiGoとかホリエモン(新自由主義の象徴!)が同じ手法を使っている。

 伊藤昌亮先生という人のひろゆき論が前に話題になっていた。

websekai.iwanami.co.jp

これは悪くない評論だが、左派の立場から書かれていて、私からするとひろゆきも左派もどっちもどっちに思えるというのはある。新自由主義(ネオリベラリズム)批判も出てきている。

 ↓この本は酷かった。

書評は↓ここから辿ってね。

cut-elimination.hatenablog.com

 ↓こういう本を読んで影響を受ける人が世の中にはけっこういるらしい。しかし帯の顔がムカつく。

ガーシー、コレコレ、ガレソ

 暴露系である。芸能界とかサブカルチャーの闇を暴く系。どういうわけかみんな一定の信者を獲得している。

立花孝志

 NHKをぶっ壊す。ガーシーの友達でもある。

オラオラ系YouTuber

 コムドットなどのYouTuberが現代日本の若者のカウンターカルチャーかもしれない。コムドットはそうでもないが、ヒカルとかちょっと前のYouTuberには「テレビにできないことをやる」的な反逆思想があった。売れっ子芸人がテレビのコンプライアンスを嫌ってYouTubeを始めるという現象もある。コムドットは起業家精神みたいなのがあって大企業とか既得権益に争おうとしている感じである。

 しかしやりすぎて炎上して落ち目になるというパターンも多い。だが逆に炎上のリスクやアンチの存在を敵として反逆の姿勢を見せて信者を獲得するという戦略が見受けられる。

 ↓この本は立ち読みしたらおもしろかった。帯に「遅ぇよ時代。」と書かれている。おもろい。

加藤純一などの配信者

 ニコニコ生放送で配信を始めた人たちは過激なことを言ってネット上で注目されることが多い。こういうのは昔はテレビの深夜番組とかラジオの深夜放送が担っていたのだと思う。メインストリームのメディアやインテリ、金持ちの欺瞞への反逆の思想がこの人らを支えている。弱者男性界隈と近い。代表的なのは加藤純一、通称・かっさんである。

 しかし大手メディアにいろいろしがらみがあるのはある面では合理的だということがわかっておらず、ただ無法なことをやるだけで自滅している配信者は多い。

 私としては、かっさんこそネット上にうっすらと蔓延しているミソジニーレイシズムを象徴する人物だと思う。ニコ生の発起人の一人であるひろゆき先生とも仲がいい。左派知識人は暇空茜氏よりもかっさんを分析すべきだと思う。

 かっさんが結婚式の配信で投げ銭を大量に稼いだのは、現代的なカウンターカルチャーの消費主義への敗北の例だろう。反逆といっても所詮はビジネスである。

私人逮捕系

 最近話題のやつ。ダイレクトに法律に反逆しようとしていてすごい。けどこの人たちも本当は大衆の反逆のエネルギーをビジネスに変えているだけなのである。

ネットのアングラ文化

 インターネットは元来カウンターカルチャー的なものらしい。検閲とか権力からある程度自由なので。ひろゆき先生はそこから別角度のカウンターカルチャーに移行したが、そうではない古き良きインターネット的カウンターカルチャーもある。

淫夢

 ゲイビデオ『真夏の夜の淫夢』がこれほど広まるまでにはいろいろ複雑な経緯があっただろうが、やはりニコニコ動画の存在が大きいと思う。ここでもひろゆき先生が一役買っていてすごいね。

 淫夢は何か欺瞞を敵視するようなものではないが、なんとなく、LGBTへの配慮、セクシュアリティをネタにしづらいという風潮への反逆の意思が淫夢を流行らせている面もあるんじゃないかとはちょっと思う。最近は中国で淫夢が流行しているらしく、中国といえば同性愛への風当りが厳しい。中国では淫夢は真正のカウンターカルチャーなんじゃなかろうか。(追記:中国人に友人に聴いたら、中国で同性愛への見方は日本と比べてそんなに変らないらしい。そして淫夢は確かに有名らしい)

恒心教

 伊藤先生のひろゆき論で述べられていたようなハッカー文化の最後の名残は、恒心教ではなかろうか。恒心教の説明は難しいので↓を参照。前出のなんJ発の文化である。

dic.pixiv.net

 恒心教といえば犯罪予告で世間を賑わすが、けっこうガチのハッカー・クラッカーが多いらしい。↓恒心教のwikiを見るといろいろやっていることがわかる。

https://krsw-wiki.org/wiki/恒心年表/2023年後半

 怖いのでこれ以上触れたくない。かっさんの友達の「ゆゆうた」という配信者は恒心教のネタをパクったことで嫌がらせを受けていた。私もゆゆうたの文化盗用はゆるせない😡

最後に

 「この記事を書いている者こそカウンターカルチャーの真実に目覚めてしまった人だろ」とか言うの禁止ね😡