曇りなき眼で見定めブログ

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【新海誠】キミは『雲のむこう、約束の場所』を観たか?(最近の新海作品にはない"味わい"があるよね)

 新海誠監督の初長編作品。20周年でリバイバル上映しているので行ってきた。かなり久しぶりに見る。1日1回上映のためかけっこう客が入っていた。

 むかし観たときはよくわからん話という感じだったが、今回はそうでもなかった。私のセカイ系への理解が進んだためか。本作は↓で書いたような意味でセカイ系である。

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ヒロインの脳がどういうメカニズムで塔と繋がっているのかとか、なぜ主人公がヒロインを連れて塔まで飛んでいく必要があるのかとか、いまいち練られていない感じがする。そこを雰囲気と演出で突破するのがセカイ系的で新海的である。

 2004年の作品だが、セリフや演出・編集の感じが現代的に感じる。凝ったモノローグとか、音楽に合わせてタイトルを出すのとか。現代の作品がかなり新海ワールドに影響されていて、もはや当たり前になってしまっているのだろう。良くも悪くも、だが。

 最近の新海作品は興行の規模も大きくなり、多くの人にリーチするために要素がいろいろ盛り込まれているが、本作は新海的要素がもっと凝縮されている。ゆえに味わいが濃い。電車のなかで何かの反射光がキラキラしているとか、そういうディティールに目が行く。そういうのを深く味わえて良い。生活のなかにたしかにあるこんなようなディティールに美を見出したことが新海監督の作家としての特徴なのだろう、と再確認できる。

 そのうえその後の作品につながる要素もある。主人公と夢の世界にいるヒロインが手を合わせて背後に太陽の光が映るカットとかまんま『君の名は。』であるな。エロい先輩お姉さんも出てくるし。