けっこうつまんなかった!
いわゆる一つの虚無映画というやつで、いったいどこをどうおもしろがればよいのかわからない。作った人たちはどこに力を入れたのだろう? 絵も質が低いというより魅力がない。キャラクターは暗い人とか不機嫌な人ばかりでキツかった。唯一良くなりそうだった駒田さんのBL好きという要素もあんまり活きてこなかった感じ。
背景の美術と作画がわたせせいぞうみたいになってるのが工夫だろうか。しかし『サイダーのように言葉が湧き上がる』ほど奇抜ではない。
cut-elimination.hatenablog.com
奇抜にすると話のテイストと合わないし仕方ない。
キャラクター原案が謎の人なのだが、ぶっちゃけ顔のデザインがあまり良くなかった。やはり魅力がない。特徴がないしかわいくない。
アニメっぽいケレン味を排除したこと、わかりやすい特徴がないのがむしろ特徴なのだろうけれど、流石に話も絵もつまらなすぎるだろうと思った。だったらもっと徹底して小津安二郎みたいに丁寧に作るべきだったんじゃなかろうか。小津映画はケレン味はないけど印象的なカットはたくさんある。本作はそういうのがなかった。
話について細かいことを言う。なんで買収されたくないのかわからなかった。私は経営とか会社のこととかわからんうえに、キャラクターたちの心情もわからない。
それと私は酒を飲まないのでウィスキーのことはもっとわからないのだが、けっきょくコマなるウィスキーはおいしいのかどうかまったくわからなかった。私は序盤のライター男のような心境で映画を観ていた。ウィスキーのことなどわからんし興味もない。ところがライター男がウィスキーの魅力に目覚めるシーンとかなくて、これは作劇上の工夫かもしれないがヘンテコに思えた。最終的に家族の酒とか言って、つまりコマにまつわる思い出が大事なのであってコマそのものの魅力ってなんなのかと思った。
それと親父さんがウィスキーをやめると言ってお兄さんがそれに反対して家を出たという話だったが、ふつうこういう話って逆でねえかと思った。ウィスキーにこだわる親父と経営にシビアで切ろうとする息子、みたいに。ここもヘンテコだった。