曇りなき眼で見定めブログ

学生です。勉強したことを書いていく所存です。リンクもコメントも自由です! お手柔らかに。。。更新のお知らせはTwitter@cut_eliminationで

最近読んだ本とか論文を紹介しちゃおうかな(レゲット、AIで英語論文、ゲーム理論、井上俊之)

 またいろいろ読んだので紹介するぜ!

Anthony J. Leggett "Notes on the Writing of Scientific English for Japanese Physicists"

 英国人物理学者レゲットが書いた、日本人向けの英語論文書き方指南。前に紹介した服部久美子(ほか)『数学のための英語教本』や木下是雄『理科系の作文技術』でもオススメされている。

 著者のレゲットは日本人の英語論文の校正を何年か経験しており、そのなかで見つけた日本人がおかしがちな間違いのパターンのいくつかをまとめたのが、本ノートである。『理科系の作文技術』でも本ノートを引用して強調していたが、簡潔に書くこと、ハッキリ言い切ることは英語では当たり前だが日本語には欠ける感覚である。これらの点を真っ先に挙げている。

 細かい語法の知識もありがたい。冠詞の間違いは致命的ではないなどと述べられているのには安心した。

 ↓こちらから読める。

http://wattandedison.com/Prof_Leggett_Notes_on_the_Writing_of_Scientific_English.pdf

 ↓こちらに邦訳がある。これも少し見た。

柳瀬陽介「AIを活用して英語論文を作成する日本語話者にとっての課題とその対策」

 ライティングを教える英語教師・英語学者が書いた論文である。生成AIを使ってサクッと論文を書く方法を教えてくれるかと思いきやそう甘くなかった。

 AIにやらせる作業として本論文が想定しているのは、日本語で書いたものを英訳して文体を整えることである。しかしそれについての詳細な指南が述べられているわけではない。

 そうではなく、どうすればAIが扱いやすい日本語を書けるか、というのが本論文の主題である。で、結局、一般的なライティングの指南のようなこと、例えば『理科系の作文技術』のような内容が書かれている。やはりそういう基本が大事なのである。

 ライティングは一筋縄ではいかないなあ。

 本論文が書かれたのは1年以上前で、それ以後AIの技術も変っていると思う。しかし本論文は基礎的なことを説いているので、今も学ぶところは大きかった。

 ↓詳しい書誌情報とリンクはこちらから。

www.jstage.jst.go.jp

浅古泰史・図斎大・森谷文利『活かすゲーム理論

 お友だちと読書会で毎週1章ずつ読んだ。ゲーム理論の教科書である。他の本と比べると、すべてのゲームが具体例とともに解説されている点と、定義や定理の意味が詳しく説明されている点が特徴の模様。

 私は哲学、特に社会規範を論ずるタイプの議論にはゲーム理論の知識が不可欠と考えている。勉強できてよかった。

 最後のほうの章は、難しいのと忙しくて疲れていたのとであまり理解できていないが、7章くらいまではかなりわかりやすかった。

井上俊之著・高瀬康司編著『井上俊之の作画遊蕩』

 月刊『ニュータイプ』の連載が待望の書籍化! 大アニメーターの井上さんが様々な名アニメーターと対談するシリーズである。

 当初は井上さんとアニメーターたちが自由にマニアックな話をする企画かと思ったが、真のテーマは現代日本アニメの制作体制への批判と提言であった。現代でメインとなっている、アニメーターが原画をすべてラフに描いて(現代の意味でのレイアウト)作画監督が修正、それを第二原画が清書、というシステムではなく、高畑勲&宮﨑駿コンビがやっていたような少数のアニメーター(駿は一人でやった)が少数のラフ(本来の意味でのレイアウト)を演出がチェックしてそれをもとに各アニメーターが原画を描く、というのを井上さんは推奨している。

 私のような素人なのに作画にごちゃごちゃ言ってる人間には勉強になります。