曇りなき眼で見定めブログ

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ジラール主義者が読む『現代思想 〈計算〉の世界』その6 斎藤憲、三村太郎、稲岡大志

 ↓これの続き!

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 ↓これを読んでいくシリーズ!

 今回は歴史についての論考3つ。

斎藤憲「古代ギリシャの計算」

 これは非常におもしろかった。ミステリィの解決みたいな歴史研究のおもしろさが味わえる。具体的なエピソードが豊富で前節のキットラーという人の観念的な歴史論より遥かにおもしろい。

 古代ギリシャユークリッド幾何学など論証的な数学は発展したが計算は苦手な人が多かったらしい。しかしプトレマイオスの計算力はすごかったとか。その具体的計算手法は私は計算が苦手なので追い切れていないが非常に巧妙である。

三村太郎「イスラーム科学と計算 10進法と60進法の融合」

 知らない話ばかりだった。イスラーム科学史における天文計算。

 古代ギリシャの科学は一度イスラームに伝わってからヨーロッパに逆輸入されたのは有名だが、イスラーム天文学にはインドの天文学の影響もあるらしい。イスラーム占星術はインドの10進法計算とギリシャの60進法計算を巧みに組み合わせているとか。

 勉強になりました。

稲岡大志「十七世紀ヨーロッパの数学者の図形活用法 サイクロイドを事例として」

 数学・論理学史の研究科であり堀江由衣の論文も書いている稲岡先生の論考。

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 これはとても難しくて殆ど理解できなかった。17世紀の数学者によるサイクロイド求積問題が紹介されているのだが、算数オリンピックみたいで私には難しい。とにかくデカルトライプニッツ、そしてそれを読んで理解する稲岡先生はめちゃ頭が良いということがわかった。

 あと図形による思考は数学において重要という話。証明図だってそうだし、ジラール先生も証明網や相互作用の幾何学といった幾何学的概念を重視している。

今回のまとめ

 勉強になりました。