非常に面白かった!
私はジャズはちょっと興味はあるけど全然知らないのだが音楽が良かったと思った。上原ひろみとアート・ブレイキーは知ってる。
原作は読んでいない。
話はたいして奇抜なものではないが(事故に遭ったのは驚いたが)、最後はけっこう感動した。最近だと『ぼっち・ざ・ろっく!』も若者が音楽をやる話だったが、比べるとこちらは前向き過ぎて驚く。
新海アニメほどではないが凝った新宿・東京描写だった。美術がそこそこ良いのと、ネオンの光を顔に反射させる表現が良い。
で、アニメでは難しいらしい演奏描写なのだけど、これはまあまあだった。3DCGは凹凸がなくのっぺりしていて動きも軽くてリアリティがなかった。『ピーピング・ライフ』を思い出した。
作画で顔の影を線で表現したのがCGにも乗っかっていて、それで整合性を出そうとしたのかもしれないがあまり上手くいっていない。そういうのよりは音を抽象的に作画や演出で表現しているカットの方が良かった。特に良かったのは客のグラスの氷に主人公らが映るところ。カッコ良くて感心した。
あと山田裕貴はちょくちょく声優をやっているけどなかなか上手いと思う。
ちょっと意地悪な感想だけれど、主人公らが純粋に音楽を好きというより「音楽で認められたい」みたいな欲求を持っている感じが気になった。そう考えると聴衆や偉い人に認められるシーンより最初に玉田が加わって三人で演奏したシーンの方が良かったように思える。というのは音楽の初期衝動をテーマとした(そのものずばり)『音楽』という傑作アニメーションを私が引きずっているからか。
まあまあまあ。しかし大変おもしろい力作で、その割に客が余り入っておらず、ジャズよりアニメ映画の方が文化として瀕死のような気がした。
音楽にジャズを採用したアニメで傑作といえば『カウボーイビバップ』(私はまだちょっとしか見ていない)。
音楽を題材としたアニメーションの最高傑作といえば「トムとジェリー」のこれ。