アナログセルアニメ末期の傑作です。
名作だがレンタルにもサブスクにもなかなかなくて見る機会がなかった。しかしバンダイの配信サイトで300円で見れることに気づいたのでついに見た。
↓の本で沓名健一・小黒祐一郎両氏が絶賛していたのにも後押しされた。
あまりの映像美に度肝を抜かれてしまった。天野喜孝氏のキャラクターデザインの美しさよ。Dの黒い帽子とデカい剣がかっこいい(ワンピースのミホークみたいだがどっちが先だろう?)。天野キャラといえば押井監督の『天使のたまご』もあるが、本作は川尻善昭監督の映像世界でより情念がこもっている。ゴシック調の美術や馬も世界を盛り上げている。私の好きな出﨑&杉野黄金コンビの90年代作品みたいな耽美の雰囲気であった。一コマ作画と思しきシーンも多く、そのヌルッとした質感がさらに耽美を引き立てる。効果的な枚数の使い方である。
SF設定が後半にかすかに明らかになるのがオシャレである。原作ではもっとSFが前面にあるらしいがそれを後景に配置したのが上手い。
↑の本では、沓名氏が本作を通じてセルならではの魅力を熱くしかも的確に語っているので読むべし。私もこういう線と光に情念がこもったような藝術的美しさはデジタルアニメでは出せないと思う。