曇りなき眼で見定めブログ

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【成田悠輔-○-□-批判 その4】『22世紀の民主主義』という(たいして面白くない)本を(我慢して)読む その1

 ネチネチ成田悠輔先生を批判するシリーズ第4弾!

過去記事は↓のリンクから辿って欲しいけどとりあえず私はメディアで軽薄に振る舞う学者が嫌いだということだけ覚えておいて! 「成田悠輔」というブログ内カテゴリも作っておいた。

cut-elimination.hatenablog.com

 で、漸く著書のほうを読んでいる。とりあえず序章と1章を読んだのでメモを。とにかく、上手くもない譬喩表現が鼻につくし文体とか語彙が若作りしていていけすかない。その割に内容も学問的でなく面白くない。よって読むのが苦痛である。ここでいう「学問的でない」というのは、学問的な研究が反映されていないという意味ではなく、それをただ並べるだけで論理展開に乏しい、というほどの意味である。なんなら1章で登場する研究成果を初歩から紹介していくことで一冊の本にした方が良かったのではないか、とか思った。まあそんな本を読む知的忍耐力のある人は成田先生の支持者にはいないのかもしれないが…(言い過ぎ)。

 はじめのところで「若者が選挙に行っても何も変らない」と「断言」されている。これには疑問がある。根拠として若者はマイノリティであるとか若者は与党を支持しているという事が挙げられている。しかし、今の状態で急に若者のうち選挙に行く人の割合が突然増えるだけではそれは何も変らないだろうが、それによる副次的効果みたいな事は考えないのだろうか? 若者が選挙の事を考えるようになったらメディアや産業は大きく変る気がする。「そういうのは何もなく、ただ若者の投票率だけがハネ上がるとする」という中学・高校数学の確率論みたいな仮定を置くならばこの断言は正しいだろうが、ムリめな気がしてならない。それでも何も変らない可能性はあるが、この程度の根拠で「断言」してはダメだろう。そうやって「断言」してくれる人がいると安心してしまい物事を疑わない人が成田先生を支持しているのだろうか…(言い過ぎ)。

 言い過ぎついでに言っておくと、例の「高齢者集団自決」発言も、こうしたムリめの仮定を暗黙のうちに置いている気がしてならない。そりゃあ何も世の中が変らずただ高齢者だけスッと消えたら色々とラクになる部分もあるだろう(それも怪しいが)。しかしそんなことありえそうもない。というか、成田先生のような「最先端」的な研究をしている人ほど、目先の業績に釣られて何かしらムリめな仮定を置いてでも何か意味ありげな断言をしたくなってしまうのではないか? と疑ってしまうおいらです。

 あと「私は政治に興味が持てない」とか言って本を始めているのが「また俺なにかやっちゃいました?」感があっておもしろい。

 1章ではここ20年で民主国家ほど経済が停滞しているとかコロナ初期の対応に失敗したという事が書かれている。これは成田先生自身らのarXiv投稿論文が元になっていて、その成否は私にはわからなかった。だからもっと解説が欲しかった。

 あと民主主義という言葉の意味が意外とよくわからない。リベラリズムというのとは違うのだろうか。欧米人がマスクを嫌がるのはリベラリズムが根付いているから〜みたいな話はよく聴いたが。

 普通に考えると、経済が停滞したりコロナ対策に失敗しても民主主義が大事な気がするのは、経済成長やコロナ対策よりも重要なもの(表現の自由とか)があるからだが、何故かその点には触れられていないのが不思議だった。今後に期待。自由と成長や安全のトレードオフがあるってことになるが。

 それと論理展開としてよくわからなかったのだが、民主主義が悪いのか民主国家が悪いのかどちらなのだろう。民主国家が低成長だというのは認めるとして、それは民主主義が低成長をもたらすというのと同じことなのかそうではないのか。ポピュリズムとかデマとかヘイトスピーチとか民主主義の「劣化」が論じられているが、だとしたら民主主義の劣化が悪いのであって民主主義が悪い訳ではないのだろうか(けど古代アテネの民主制も失敗したとある。てことは結局この20年の話ではないのだろうか)。民主主義を上手く運営できればもっと成長とかが見込めるのだろうか。それが「22世紀の民主主義」ってやつか? まだ判らない。

 あとインターネットとかSNSが民主国家の停滞の原因かのように論じられていたが、これについては特にデータとかが無かった。インターネットがポピュリズムを加速している感はもちろんあるが、それと20年の停滞の相関?は解らなかった。

 次の一節にはイラッときた。

 こういった話、つまり「世論に耳を傾ける民主主義的な国ほど今世紀の経済成長が鈍い」という話をすると、すぐに上から目線のお叱りやクソリプが飛んでくる。「見せかけの相関で小躍りするなこの低脳が!」という怒号だ。確かに、相関は因果ではなく、民主主義と経済成長の間に負の相関関係があるからといって、民主主義が経済停滞を生み出しているとは限らない。(47ページ)

前回述べたように被害者ぶるのが上手いな〜と思った。「私は天才すぎて世の中の人には理解されていません。でも聡明な貴方ならわかっていただけますよね?」と言って擦り寄って来そうで怖い。あと「パーティ追放」系なろう主人公っぽい。(あと「クソリプ」とか言って若者ぶるのはどうなんだというのもあるがまあまあまあ。)この悲劇の天才ぶる感じが成田先生が茶化しつつ取り上げている山本太郎や立花孝志や橋下徹小池百合子や吉村洋文っぽい。成田先生を支持している人はそこに気付いているのだろうか? みんな目を覚ませ! スザンヌも目を覚ませ!

 で、「上から」でなく真摯に「それは相関にすぎないのでは?」と言ってくれる人にはちゃんと答えるのだろうか? というかそういう人はいないのだろうか? というか成田先生はどんな環境で学問をしているのだろう? SNSとかやりすぎで荒んでいやしないか。

 

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