曇りなき眼で見定めブログ

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【成田悠輔-○-□-批判 その5】『22世紀の民主主義』という(たいして面白くない)本を(我慢して)読む その2【炎上が怖い】

 成田悠輔粘着シリーズ!

前回はこちら!

cut-elimination.hatenablog.com

 第2章を読んだ。この章は本書全体の中での位置付けがよく判らなかった。ようするにここでした提案はどれもダメだから真の主張は後半へ続くという事だろうか。もうちょっと構成をちゃんとしてハッキリ論理展開を書いて頂きたい。

 前回で民主主義が悪いのか民主主義の劣化が悪いのかよく解らないと書いたが、本章はどうも民主主義をより良いものに変えて劣化を防ぐという提案に当るみたいだ。

 シルバー民主主義というのが出てくる。これが日本の大きな問題だというのだが、エビデンスがない。エビデンスがないという事はちゃんと注にも書いてある。なのにアネクドートを並べてシルバー民主主義が問題だという話になっていく。非公式の政治家との会話とかも出てくるが、政治家と友達アピールだろうか?

 シルバー民主主義は政治家が高齢者の意見にビビってしまうから生じるというような事が論じられている(エビデンスはない。少数のアネクドートだけ)。しかし高齢者に忖度しない政治家として「高齢者はさっさと死ねるように」とか発言した麻生太郎が取り上げられている。麻生太郎こそさっさと死ぬべき高齢者じゃないかとも言えるが(失礼!)、そこには成田先生は触れていない。麻生にビビっているのだろうか。こういう発言こそ一章でカリカチュアされていたポピュリズムではないか。麻生みたいなのが当選する事が民主主義の劣化だろう。

 最終的にシルバー民主主義は撃退すべき敵ではないかも、みたいになる。そもそもシルバー民主主義が実在するのか、実在するとして問題なのか、が十分に論じられていないのでなんの知的感動もなかった。あと「老害切腹せよ!」という意見を戯画的に書いて批判している箇所もあった(112ページ)。自分のことではないか。なんか歪んでる。

 前章で出て来たSNS禍みたいなのが本当に民主主義を劣化させているという主張も相変らずエビデンスがない。エビデンスがないまま進んでいるので結局なんらの有効な具体策も提示できていない。SNSを規制するかしないかみたいな事が論じられているが、SNSの何がどう問題を生じさせているのか何も研究に則っていないので何を大事にして何を制限するか何も具体的に書かれていないのである。

 再び高齢者問題へ。投票に年齢制限や年齢を反映する方法を導入するという話へ。こんな事が書いてあった。

 とはいえ、選挙権に定年や年齢上限を設けるのは現実には難しそうである。憲法による年齢差別に禁止に加え、特に日本のような高齢国家で「老人から選挙権を取り上げよう」などと言えば炎上するのは必至だからだ。この本も炎上するのではないかと内心ビクビクしながら書いている。燃やすなら再起不能なところまで徹底的にお願いしたい。(107-108ページ)

小心者すぎて読んでいてイライラする。炎上したくなかったらこんな軽薄な書き方をせず誠実に言葉とエビデンスを尽くして書けばよかろう。それに炎上しようがなんだろうが正しいものは正しいのだから堂々と反論すれば良い。それとも成田先生はアカデミックに批判される事すら怖いのだろうか。

 それはさておき、「憲法が禁止しているから」ダメというのはどういう了見だろう。なぜ憲法が禁止しているか考えればよいのに。本書は一事が万事この調子である。そもそも成田先生が価値基準として何を置いているのか解らない。最大多数の最大幸福だろうか。それもGDP基準とかの。だとしたら憲法GDPより大事なものがあると言っているのである。憲法のそこを批判して憲法改正の提案をすれば良いではないか。

 余命投票制とかも書いてある。私は良いと思うが、それによって年齢を超えた公平性は侵害されるのは無視できない。その道徳的な問題点とかをみんな考えている。そうした公平性より大事なものがあるというならそれをちゃんと論じて頂きたい。なのに成田先生は何も考えていない。そこを軽んじるから非難されるのではないか。なのに「炎上が〜」とか悲劇の勇者ぶるのだけはいっちょまえである。

 あまり意味のない章だった。

 成田先生はこうした政治学的議論をする程の知識というか専門的知性は持っていないなあと思うおいらです。データ科学とかでは偉い人なんでしょうが。まあ単にテレビで売れているだけの人だから学者としての能力がなくても不思議ではない。しかし軽い気持ちで成田先生を批判しだした私だけど、思ったより酷い人だなあと驚いている。