↓の続きです。
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空港の床で寝る覚悟を決めた私。屋内に戻り、エスカレーターで4階へ向かった。
4階フロアに着くと、すでに同じ覚悟を決めたたくさんの人たちがいた。何百人か何千人かわからないが、床に荷物を置いて場所を確保しており、寝ている人もいた。不思議なものだが、人びとは自然と列のようなものを作るように場所を確保していて、通路もできている。
私はちょうど一人寝られるスペースを見つけ、リュックを置いた。このリュックが今日の枕だ。少し抵抗はあったが、床に寝転がった。それほど悪くない感触だった。私は処方された睡眠導入剤を持っていて、これさえあれば入眠できないという心配はあまりない。ただしグループで座っている観光客らしき人たちがぺちゃくちゃ喋ってうるさかった。そして少し寒い。埃も心配である。
スマホで情報を入手したかったが、充電が心配なため控えめにした。まだ21時台である。いま薬を飲んで眠ると、早くに目が覚めて暇になってしまう。ここは普段通り深夜1時くらいに寝ることにして、それまで時間を潰したい。
私はリュックから文庫本の大西巨人『神聖喜劇(1)』を取り出して読みはじめた。
私はこの状況も己を高めるチャンスだと思うことにした。昨年2度イギリスに出張した私は、長時間フライトや慣れない環境に行くことに耐える体力・精神力の重要さを痛感したのだ。私の指導教員(この記事を誰が読んでるかわからないからいちおう書いておくと、私は大学院博士課程の学生です)は国際的に活躍する学者だが、やはり心身がタフな人で、学生の頃は体育会系だったらしい……。私としても、今回のようなトラブルは今後も経験することだろう。その度にタフになるのである。狭さ、騒がしさ、不潔さ、そうしたストレスに耐えられるようにならなければならない。
読んでいた『神聖喜劇』という小説も、太平洋戦争中の軍隊の劣悪な環境で主人公が戦うという話である。この空港は軍隊に比べたらましだろう。
小説がおもしろくてのめり込むように読むことができ、するすると時間が潰せた。気付けば深夜になっていて、薬を飲んでしまってもよさそうだ。
どうやら清潔な水を入手するのが困難な状況だったようだが、私は仙台空港の自販機で買ったいろはすをまだ残していたので助かった。それで薬を流し込み、次第に眠りについていった……
──つづく
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