まだまだ『羅小黒戦記2』の感想を書くよ。↓の続き。
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前回は戦争について述べたが、じゃあどうして戦争へと緊張が高まってくかというと、種族間の対立があるからである。
前作では、妖精というのは衰退してゆく種族として描かれ、弱いもののように映った。しかし今作を観るとその印象が変わる。妖精たちは団結すれば人間の大国ひとつ分くらいの力はあるらしい。それが脅かされつつあるということである。妖精は少数民族というより、かつて中国が実際に体験したような、近代化に遅れた大国という印象がある。そして人間や人間の科学をどれだけ受け入れるかで内部で対立している。自然と人間、伝統と近代化のような古典的な対立軸がテーマである(ように見えた)前作と比べ、もっと具体的な歴史との類似が加わり、より立体的になっていると感じた。
そして、妖精たちのコミュニティに人間がたくさん入ってきていて、それを不快に思う妖精と人間の間で衝突が起こる。このシーンなど、まさしく現在の日本など世界の様々な国が経験していることである。
こうしたテーマは、これまでのアニメでは遠回りなメタファーとしてはあったかもしれないが、なかなか正面から描かれることはなかった。本作はテーマに対して真摯に向き合っている。
また、問題の解決策として、なにか理屈を提示するのではなく、意見を異にする妖精たち(シャオヘイとルーイエなど)の個人同士の対話(ときには拳を交え)で少しずつ前進していく様として描いているのがいい。これは前作もそうだった。世の中ってそんなものでしかないのである、という大人の視点だと思う。
↓の記事を参照してほしいのだが、私は『ルックバック』を観たあたりから、日本の漫画アニメが「クリエイターとしての自我」以外のテーマを見失っていることを危惧している。
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絵を描くのが好きだか知らんが、ではそれでなにを描くのかが問題であろう。
昔『バクマン』という漫画家を描いた漫画で、主人公たちがライバル漫画家の漫画を読んで「環境問題をテーマに盛り込んできて深くなっててすごい」「深いこと描かないと」みたいなことを言うシーンがあったが、ナメとんのかと思う。もっと世の中をよく見れば、おのずと伝えたいことも出てくるだろうに。大人なら。手塚治虫とか宮﨑駿は、そういう訴えたいものがあったかこそあれだけの創作ができたのだろう。深いもの描かなきゃ、とか思っていたわけでなく。
そういう大人の視点の有無で日本のアニメは羅小黒戦記に負けているが、しかしさらに重大なのが、オタクアニメとしても普通に負けている点である。これについては次回以降。
追記:続きは↓です。