曇りなき眼で見定めブログ

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キミは『聖戦士ダンバイン』を見たか?(元祖異世界転移アニメ)

 異世界ものの勉強のために見た。中世ヨーロッパ風異世界に転移する系のアニメの元祖である。ロボットものだが。富野由悠季監督のオリジナル作品。1983-84年放送。

 第1話の冒頭でいきなり主人公ショウが異世界バイストン・ウェル」に飛ばされる。驚くのはショウの受け入れの早さである。特に狼狽えたりしない。そしてシーンが変わると次の日かなんかになっていて、もう普通にしている。元祖でこれなのが凄い。

 牧歌的なバイストン・ウェルに現世(作中で「地上」と言われる)の機械文明が入ってくる悲劇を描いているわけだが、地上にとってもバイストン・ウェルの技術は脅威である。バイストン・ウェルのオーラマシンは地上人が持ち込んだ技術で作られたけれども、バイストン・ウェルのオーラ力というものがないと動かせないわけである。しかもバイストン・ウェルの人間よりも地上人のほうがオーラ力が強いという。そしてオーラマシンは地上の兵器を凌駕する。このへんの設定は入り組んでいるがようやっとる。

 特筆すべきは第16話「東京上空」からの3話である。当時も衝撃的だったらしいがいま見てもおもしろい。ショウがダンバインに乗って地上に帰ってきて、日本を舞台に戦うのである。当時の普通の東京の街に巨大ロボットが現れる、その混乱を冷徹に描いている。ショウの親がショウに向かって「なんだその格好は!」と言ったりとか。異世界ものの元祖でありながら、異世界でロボットが戦う滑稽さをメタ的に表現してさえいるのである。これは感心した。

 本作はいろいろ大人の事情で構成が二転三転したらしく、後半はキャラクターがみんな地上に来て地上人と組んで戦うようになる。それでちょっと個性を失う。私は富野監督の良さがそんなにわからない(客観的に見てすごい監督だとは思うけど)ので、本作後半はいつもの富野作品という感じであんまりだった。

 それと「オーラ力」なるものがどんどんなんでもありの超パワーみたいになっていくのはどうかと思った。富野監督はこの後『Zガンダム』を作るが、そこでもニュータイプの力がどんどんなんでもありになっていくものね。

 しかし「ハイパー化」のアイデアと、それが登場する第37話の迫力は素晴らしいものがあった。今川泰宏氏のアイデアと演出らしい。個性がよく出ている。作画も高密度で良かった。

 湖川友謙氏のキャラクターデザインと作画はたいへん良い。白人や異世界美人のキャラクターが、骨格がリアルでありながら美しい。