これを見ずしてアニメを語るなかれ。テレビアニメの60年の歴史上でも最高峰の傑作である。1975年放送。
↓こういうのが出たらしい。買おうかな。
この度ひさしぶりに見返した。『ど根性ガエル』を見た流れで、同じく芝山努氏がメインスタッフであった本作を見たのである。芝山氏はレイアウト担当。出﨑統監督とどういうパワーバランスで制作されたかとかは今後調べることとする。
レイアウトに着目すると、第1話の夜の港のシーンで船体にガンバの巨大な影が映っている絵なんかとてもかっこいい。また『ど根性ガエル』でも美術監督だった小林七郎氏のセンスとの融合も凄まじい。大胆に省略された太陽の造形など素晴しい迫力である。
しかし見返してもやはり出﨑演出というもののおもしろさに目がいってしまう。カッティングのテンポがとにかく良い。痛快とはこのことである。生命というものの迫力に満ちている。主演の野沢雅子さんはじめ声優陣も、現代とは発声の根本が違うんじゃないかというくらい力強い。
またやはり物語が抜群におもしろい。物語のおもしろさでいったらアニメ史上いちばんではないか。26話に凝縮されているのもいいのかもしれない。緊張が持続し、辛すぎない程度に収まっている。私は、最終回で一行が海上でイタチに囲まれた際にシジンが「海を、海を求めて若者たちは来た……」と詩を詠みだすシーンが特に好きなのだが、見返してみると初回に伏線があったことがわかる。ガンバとボーボが港に来たときに最初に出会うのがシジンで、海を見たくて来た二人にここが海だと教えるのである。それと対になっている。美しい構成である。