最近は研究のノウハウ的な本をいろいろ読んだので大紹介。
- ポール・J・シルヴィア、高橋さきの訳『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか』
- ポール・J・シルヴィア、高橋さきの訳『できる研究者の論文作成メソッド 書き上げるための実践ポイント』
- E・M・フィリップス、D・S・ピュー、角谷快彦訳『博士号のとり方 学生と指導教員のための実践ハンドブック』
- 服部久美子、原田なをみ・David Croydon監修『数学のための英語教本 読むことから始めよう』
ポール・J・シルヴィア、高橋さきの訳『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか』
これは素晴しい本だった。論文指南書なのだが、書き方だけでなく、メンタルの持ちように多くの分量を割いている。自己啓発書みたいに鼓舞してくれる。私も啓発されてしまった。
本書の最大の教訓は、論文を書くスケジュールと具体的な課題を決めてそれを厳格に守れ、ということである。私も本書の通り実践してみたところ、本当にたくさん書けるようになった。それだけでなく、研究に向うモチベーションも高まるし、健康的だし、良いことずくめである。
査読コメントにへの対処の仕方も書いてあり、これも重宝している。私は査読対応というものを何もわかっていなかったな〜と目から鱗が落ちた。
ポール・J・シルヴィア、高橋さきの訳『できる研究者の論文作成メソッド 書き上げるための実践ポイント』
上の本の同著者による続編。メンタルではなく論文の書き方に絞っている。
著者の専門である心理学論文の書き方が中心なので、私は査読対応を述べたところだけ読んだ。査読対応の解説は上の本より少し詳しくなっていて、データも載っている。
E・M・フィリップス、D・S・ピュー、角谷快彦訳『博士号のとり方 学生と指導教員のための実践ハンドブック』
博士号とは何か? 博士課程の学生と指導教員はどうするべきか? を解説した本。イギリスの学生向けに書かれた本で出てくる制度もイギリス基準だが、各国語に翻訳され長年読み継がれているとか。
かなり実践的で、インタビューに基づく生々しい実例が豊富。身が引き締まる思いである。
本書もメンタルの持ちようをいろいろ説いている。執筆スケジュールを決めるべきという話も出てくる。やはりそうなのね、と思った。
博士論文はプロの研究者の資格があることを示すために書くのだという話とか、指導教員との面談の細かいテクニックとか、博士課程約3年間の計画の立て方とか、審査の練習の仕方とか、ためになることがたくさん書かれている。
服部久美子、原田なをみ・David Croydon監修『数学のための英語教本 読むことから始めよう』
もっと早くに読まなければならなかった本だが、ようやく読めた*1。
数学の論文を書くための英語指南書。日本の数学系の学生の現代のバイブルじゃなかろうか。本書を読んでいる学生はかなり多いと思う。私も数学をヘヴィに用いる研究をしているので、大変ためになる。
数学文献に頻出する文法事項とお決まり表現が読解用テキストとともに詳しく解説されている。章末には英訳・作文問題もたくさんあって、解答も付いている。かなり力がついた気がする。文献案内も親切で、今後の学習に非常に役立つ。
*1:『論文生産術』では、書き方の指南書を読む時間も執筆時間に含めることが推奨されている。それに倣って本書を読むことも執筆スケジュールに組み込んだ。おかげで読み通せた。