曇りなき眼で見定めブログ

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【天才】『パーフェクトブルー』リバイバル上映を観てきた!【今 敏】

 伝説的アニメ監督今 敏の監督デビュー作『パーフェクトブルー』が公開25周年ということでリバイバル上映をしています。けっこう客が入っていた。

 今作品はレンタルで見てきたので、劇場で観るのは初めてかもしれない。暗いところで見ると映像の緊迫感が増すので良い。それと、アニメーター・漫画家監督の初作品でありながら、音の演出もかなり凝っていることがよくわかる。脚本家が殺されるシーンのラジカセの割れた音なんか怖かった。そういうのも劇場だとより一層味わえるでしょう。

 本作には夢や幻覚といった今のお馴染みのモチーフが既に詰っている。しかるに『千年女優』や『妄想代理人』や『パプリカ』のような幻想が現実を侵食しきってしまうことがなく、あくまで現実ベースが貫かれている。この点でまだ今の作家性が爆発しきっていないが、そのお陰で映画としての完成度が高くなっているとも言える。

 それともう一つお馴染みのメタフィクション的な構造も既に現れていて、未麻が出演するドラマが『パーフェクトブルー』という作品自体と連動している。作中の出来事なのか作中作の中の出来事なのか混乱する演出が随所にある。それに加え、アキバかどっかのビデオ屋でオタクが未麻のドラマに対し「日本でサイコスリラーなんて無理だろ」とか言うのだが、それは『パーフェクトブルー』という作品の挑戦への自嘲でもあると感じた。そのセリフの直前でいかにも当時のオタク向けアニメみたいな絵が映る。日本初でその後もあまりないサイコスリラー・アニメである本作は、そういうアニメが主流の日本アニメ界への挑戦だったのだと思う。