曇りなき眼で見定めブログ

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【感想】『100日間生きたワニ』を観てきたった(そしてオリンピック開会式について考えた)

 しつかりとつまらなかった!

 100日後に死ぬワニ (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

 観ているあいだずっと「そもそもこの映画は誰が何のために作ったのだろう?」という気持ちであった。それくらいエネルギーというか訴えるもののない作品なのである。話もよくわからないし絵も原作のイラストが喋るだけである。何故このようなものが生れてしまったのか。トゥイッターでバズっていた頃からも含めて検証したいものである。

 監督は『カメ止め』の上田さんとその奥さんで、アニメーションディレクターは『伝説巨神イデオン』の作画監督などを務めた大レジェンドの湖川友謙先生、キャストは数々のヒット作で声を当てた神木くんや旬の声優のキムスバ、その他売れっ子俳優とファーストサマーウイカ、そして音楽は亀田誠治いきものがかり。こう列挙してみるとわかるのだが、企画自体がなんだかよくわからないのである。原作のきくちさんも含め、このうち何人が本気でこの映画を作りたいと思っていたのだろう? インタビューを見ると監督と湖川さんはかなり真剣だったようなのだが、それは本当に作品や企画に対する真剣さだったのだろうか、なんかひとりよがりになっとりゃせんかっただろうか、と首をかしげたくなる。

 こうした一連の、企画や制作やコケ方が、オリンピックの開会式に似ていなくもない。というかオリンピック全体か(オリンピック自体は始まったら盛り上がっているようだが)。いろいろな人がいろいろな思惑を持って変な情熱や技術を注いだ結果なんだかよくわからないものが出来上がる、という非常に恐ろしくもありふれた現象がどちらにも現れている。

 

 私はトゥイッターで毎日やっていた頃はほとんど見ていない。炎上してからは炎上ウォッチャーとしての血が騒いで騒動を追っていたが、話はぜんぜん知らなかった。しかしやはり毎日一話ずつ四コマをやって「死まで○日」と出すからおもしろいのであって、普通に劇映画にしちゃったら単にワニが死ぬだけの話になるのは当り前だろう。この作品のファンが観て、映像化されているということ自体に感動する、そういう企画ということか。

 そんであのカエルは何だ! ワニ死後の多分オリジナルのストーリーだろうが、普通に重い話だし、普通にカエルの話ではないか。

 ものすごく根本的なことだが、話の重さと絵柄が合っていないと思う。原作はイラストレーターの四コママンガであって、けっこうシュールな雰囲気が奇抜なアイデアとマッチして味になっていたと思う。先述の通り劇映画にするとただの若者の死を扱った重い話にしかなっていない。それだとじゃあなんでアニマルなんだという話になる。

 

 しかし良かった点はあって、監督の趣向かと思うが、喋りの演技がとても自然だった。アニメはファンタジーや学園ものが基本で、こうしたフリーターとか普通に働く青年の話というのは珍しい。その雰囲気はけっこうよくでていた。