曇りなき眼で見定めブログ

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述語論理の意味論をちゃんと作る経験

 研究上の都合で述語論理の意味論をちゃんと定義する必要が出てきた。

 まず、とりあえず標準的な教科書である鹿島亮『数理論理学』を真似しようと思い検討した。

しかしこの本は解釈と真理値を閉論理式にしか与えないという流儀でやっている。これはちょっと楽になるのだろうけど、たとえば完全性定理が「任意の論理式について、任意のモデルで真ならば証明可能」となって「任意の論理式について〜」とするスタンダードな主張よりやや弱まって都合が悪い。

 で、もっと良い定義をしている教科書はないかと戸次大介『数理論理学』を参照した。

これは変項にも割り当てという関数で解釈を与えるので開論理式(ってあまり言わないが)にも解釈と真理値が与えられる。これは良い。しかし本書は変異というちょっと複雑な概念を使って量化式に真理値を与えていて、やや難しい。おそらく鹿島本で採用している拡大項と拡大論理式というのを使えばもうちょいスッキリする。

 というわけで上記ふたつの本の折衷案を取れば良い感じの意味論が作れる。たまたま気付いたのだけど、これら二書よりマイナーだがその流儀を採用している教科書もある。それがこちら。青山広・愛知非古典論理研究会『論理体系と代数モデル』

この本はなかなか良いでっせ。拡大項と拡大論理式を採用して開論理式にも意味を与えている。ただし代数モデルに主眼がある本なので完全性定理のヘンキン流のスタンダードな証明を知りたければ鹿島本が良い。

 

 追記:↑で採用したと書いた方法は良くないと先生に指摘されて、ちょっと考え直してます。拡大項を使い、開論理式にも真理値を与えるけれど、解釈は閉論理式にしか与えない、というふうに。