曇りなき眼で見定めブログ

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矢田部俊介「哲学的論理学入門」を読んでいます その2(ダメット、ハーモニー)

 ↓これの続き。

cut-elimination.hatenablog.com

↓これに載っている矢田部俊介「哲学的論理学入門」第2回の感想でごんす。

 ダメットに由来する「ハーモニー」というのが出てくる。ただし矢田部先生流に一般化した概念になっている。ダメットの本来のハーモニーはもっとテクニカルなもので、それは割愛されていた。調べてみると矢田部先生が講義資料で書いていて、保存拡大性もしくは正規化可能性の事らしい。

www.academia.edu

 矢田部先生的なハーモニーとは、システムの階層の上と下の調和の事らしい。システムの上と下はもちろん相互に関係しあっているが、一方が崩れたら他方も崩れる、という事がないくらい堅牢でもあって欲しい。その堅牢なシステムが理想的なシステムで、それがハーモニーが成り立っているという事である。保存拡大性は確かにこれっぽい。正規化可能性はどういう事だろう。

 論理には規範的な面と個別の人間の実践的な面とがある。矢田部先生は規範主義と心理主義と書いている。これらはシステムの上と下で、それぞれ違ったアプローチで研究されているとしても階層が違うので矛盾する訳ではない。ハーモニーがあれば良い。

 第2回も大変面白く、書籍化が待たれる。

 論理学徒はみんなで応援しよう!

 で、私の読んでいるジラール先生はこれとは全然違った論理観を持っているように思える。計算の観点から論理を構築するというか。また論理には内在する幾何学的性質があるとか。これは規範主義とも違う計算に基いた自然主義かもしれない。線形論理が人間の推論の規範になったり実践になったりしていると言えるか、ジラール先生がそう言おうとしているか、も微妙な所である。まあこういうのは深遠な哲学だし私もまだよく解っていないので(解る日がくるのかも判らない)、この辺で。