曇りなき眼で見定めブログ

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矢田部俊介「哲学的論理学入門」を読んでいます(柄谷行人の「インコンシステンシー」) #フィルカル #ゲーデル #不完全性定理

 またまたフィルカルだ!

大学図書館にリクエストしていた分が届いたので矢田部俊介先生の「哲学的論理学入門」を読み始めた。第1回を読んだところ(全4回)。全2巻の物凄いボリュームで出る予定の本の冒頭部分になるらしい。早く出てほしい! これが出たら日本の論理学の歴史が変るぞ! ちゃんと記号をふんだんに使った哲学書というのは和書ではなかなかないので。

 矢田部先生はソーカル事件とかを(暗に)持ち出してポストモダン思想をチクリと、そしてユーモラスに批判していて、それが良いのである。なんか『フィルカル』という雑誌はシンクレティズムで、あんまりそういう事を書いちゃいけない感じもあるので。それとポモにとどまらずハイデガーの数学論もちょっとイジってあった。私はハイデガー好きだけど。

 特に良かったのが柄谷行人大先生がゲーデルとか不完全性定理(?)を持ち出して「インコンシステンシー」と書いているのに「欧米か!」とつっこんでいたところ。柄谷先生は他でもラッセルの分岐型理論を何故か執拗に「ロジカルタイピング」と書いていたりして私も「欧米か!」と思ったものである。

柄谷先生の文章が引用されているのを読んでも私にはさっぱり解らなかったけど、矢田部先生によるとどうも「(Tが無矛盾ならば)Tの無矛盾性は(Tの内で)証明(も反証も)できない」というのを「Tはインコンシステンシーを持つ」という事だと勘違いしているようである。なるほど。そういう勘違いはありそうである。

 それとサイダー&コニー先生の分析形而上学の本とか岩本敦先生の直観主義論もけっこう強めに批判されていておもしろかった。

 また、矢田部先生は自然主義という「浅い」哲学で議論してなるべく「深い」哲学は避けるようにしている。しかしのちのち本で登場するであろう構成的型理論を作ったマーティン=レーフ先生は(私はよく知らないけど)けっこう深い哲学に傾倒しているっぽいのである。私の読んでいるジラール先生も「超越論的シンタクス」とか言ってカントを持ち出したりしてどんどん深くなっていっている。私はこういう大先生の深い哲学も好きである。