非常におもしろかった!
是枝裕和監督。
カンヌで脚本賞を受賞したらしい。確かに脚本というか構成が巧みである。ちょっと巧みすぎて引くくらいには。もうちょい計算が感じられないくらいが良いような気もするがまあまあまあ。
クスりとくるところもときどきあって良い。東京03の角ちゃんがコントでやりそうな役をやっていたのも面白かった。野呂佳代も出ていてテレ東深夜っぽさもちょっとある。
しかしそんなことより、主人公の少年二人*1があまりにも美しくてちょっとゾッとさえした。『ミツバチのささやき』を思い出した。あれは姉妹だったが。
是枝監督は子供の扱いが上手いのだろう。実に生き生きとしている。ヨリくんがおもちゃを振り回してそれが身体に当たって「イテ」と言っているカットなど自然体で良い。
山や海のカットはたいへん美しかった。安藤サクラと瑛太が廃列車の窓に着いた泥を拭うのを列車の中から撮っているのは偉い。漏れる光が美しい。こういうアイデアは素晴らしいと思う。映画の特権である。
カンヌではクィア・パルム賞というのも受賞したらしい。優れたLGBTQ映画に送られるのだとか。私が思ったのは、中村獅童は明らかに異常な親だが、母や先生の「男らしく」みたいなのはそれほど押し付けがましい感じではないのが怖いという点。なので少年二人が自身のセクシュアリティについて悩んでいたというのが徐々に明らかになってもそんなにカタルシスというか「そうだったのか!」感はなかったのだが、そこがかえってリアルで良かったのかもしれない。
なぜ堀先生(永山瑛太)を陥れるようなことをしたのかよく解らなかった。そこはあえて詳細には語らない感じだろうか。他にも腑に落ちない点がいくつかあったが、まああまり分りすぎても良くない。冒頭で述べた通り、巧みすぎてもあかんのである。
最後のあの意味深なシーンはなんなんだ! 考察班!
*1:少年二人が主人公というのも見ていくうちにだんだん解ってくる。