曇りなき眼で見定めブログ

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東浩紀『動物化するポストモダン』をネットリ読む 第3章「超平面性と多重人格」

 ↓これの続きだ!

cut-elimination.hatenablog.com

↓この本を読んでます。東浩紀動物化するポストモダン

最後の第3章なのだが、短いので簡単に。

 もう20年以上前に書かれた本なのでもちろん古くなっている所があるのだが、最終章は特に古かった。

 超平面性という言葉でウェブページやAdobe Illustratorの仕組みを熱弁しているのだが、それの何が凄いのか解らなかった。これは当時としては斬新な議論だったのかもしれないが。ウェブページは超平面性という点でオタク系作品のデータベースという特徴と共通しているそうだが超平面性という概念が広すぎてなんにでも当てはまりそうな感じがしてしまう。現象学でよく出てくる例として木を色んな方向から見ると違うように見えるがそれによって全体を把握しているというのがあって、それも超平面性ではないか? とか。ウェブページはHTMLで書かれてブラウザごとに違うというのが凄いという。けれどもブラウザが同じならば同じなのだからそれ程ポストモダン的に感じられない。

 多重人格についても、やはり社会的な病理だというのならもっと医学文献を参照すべきだろう。前章でもそうだったが量的調査や科学的考察への軽視がある。

 「YU-NO」なるギャルゲーがメタギャルゲーだと言って興奮気味に論じているけれども、私はギャルゲーもメタフィクションも興味がないのでこれはまあまあまあという感じ。

 1章と3章は必要だったのか疑問である。もっと堅い研究を参照して2章を膨らませて一冊にした方が良かったんでないか、などなど。

 

 しかし全体としては、当時の空気感も感じられるし、データベースとか動物とか使えそうな言葉がいろいろ出てくるし、面白くて良い本でした。