曇りなき眼で見定めブログ

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【お気持ち表明】反出生主義の押し付けは良くない

 密かにトゥイッターで「反出生」と検索して世の反出生主義の受容を調べている。するとよく目にするのが「押し付けは良くない」論である。ヴィーガンに対してもよく言われるが、子供を産まないとか肉を食べないとか勝手にやってくれ、他人に価値観を押し付けるな、という訳である。まあ確かに押し付けがましい人もいる。

 こういうことを言い出すと倫理を考えるということが無意味になってしまう恐れがある。例えば「人を殺してはいけないという考えを押し付けるな、お前は勝手に殺さないようにしておけ、私は殺す」というような主張は普通はおかしい。道徳的な主張というのは自分で勝手に実践するためにあるだけのものでなく、一般性を持っている。他人にまで効果の対象を拡げなければ意味がない。

 ただし、人を殺してはいけないという道徳は、それを開発した人が周りに押し付けた訳ではあるまい。奴隷は良くないとかなんでもそうだが、徐々にそういう倫理観が広まっていって法律が作られるに至ったのだろう*1。そうでないと全体主義国家みたいに無理が生ずるのではなかろうか。反出生主義にしても、それが正しいと思う人が粘り強く主張し続けて常識になるまでしなければなるまい。とすると押し付けは逆効果になるのではないか。

 私は反出生主義は「今のところ」「けっこう」正しいと思っているのだが、それほど他人に熱弁したい気持ちはない。ただ、産んでしまったがためにいろいろ苦悩を背負っている感じの人を見ると、もうちょっと考えたら良かったのにな〜とかは思う。あと自分の産みたい気持ちだけでなく生れてくる子供が将来「生れてこない方が良かった」と思わないかどうかを考えることは是非やっていただきたい。こういう人生の決断の際の指針として反出生主義は広まるべきと思う。しかしこういうことをちゃんと考えられる理性があるような人に対しては、反出生主義の押し付けはやはり逆効果だろう。

 反出生主義を正しいと思っている人からすると大した考えもなく子を作っている人がイラつくのも分るが、しかし人類の滅亡など一朝一夕で達成されるものでもなし。まあ私にできることはブログでお気持ちを表明することくらいである。

*1:とか思うのは私が自然主義者だからでしょうか…