曇りなき眼で見定めブログ

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【感想】『サイダーのように言葉が湧き上がる』(古いものは慎重に扱いましょう……)

 けっこうおもしろかった!

小説 サイダーのように言葉が湧き上がる (角川文庫) サイダーのように言葉が湧き上がる 1 (MFコミックス アライブシリーズ) 劇場オリジナルアニメーション「サイダーのように言葉が湧き上がる」オリジナルサウンドトラック

 『映画大好きポンポさん』もそうだったが、とにかくいろいろな演出技法をこれでもかと詰め込んだ現代アニメらしい作品である。画面分割とか音楽との同期とか視点がよくわからないカメラワークとかスマホのスクリーンを鏡のように使う演出とか。最大の特徴は原色を大胆に使って輪郭線を太めに引いた独特な背景画である。わたせせいぞうを思わせる(と私は思ったのだがあっているだろうか)。

わたせせいぞう自選集 ハートカクテル サマーストーリーズ (小学館クリエイティブ単行本) SEIZO ROMANCE わたせせいぞうイラストレーションズ

 それと配信アプリとか俳句とか俳句のタギングとかモチーフとしてもおもしろい要素がいろいろ出てくる。とにかくそういうのが楽しくて見飽きない。私はそういうのは好きである。あとスマイルの家の間取りがめちゃくちゃオシャレで良い。

 要素が多すぎてお話が散漫な感じもするのだが、なんだかんだで最後にうまくまとまっている感じもしたから全然OKだった。主人公の少年チェリーは場面緘黙症とか赤面症とかそういうのだと思うのだが、それが彼にとってどのように辛いのかがあまりよく見えなかった。しかし最後の告白がいい感じだったからまあよし。あのヘッドホンは大きい音が苦手というのとともに自分の声が苦手というのもあるのだろうか。スマイルの歯については俳句とレコードいうモチーフと上手く連動していて良かった。レコードの探索はもうちょっと計画的にやってほしいし古いものは慎重に扱ってほしいが。そしてあの藤山さんというのが何モンなのかが結局よくわからないのだが、物語が真っ直ぐに二人の話とならずに藤山さんの人生を追っていくうちに触発されるお話となっていてそう考えるとけっこうおもしろい。

 冒頭で巨大なショッピングモールが上空から映し出されるのにけっこう興奮したのだが、それが最後の花火の演出で反復されて再度興奮した。よいクライマックスだったと思う。

 

 とにかく意欲的なアニメ作品だしキャラはかわいいし、観ていて好感が持てた。観て損はないんじゃないかしら。マニアもそうでない方も。