曇りなき眼で見定めブログ

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今更ながら『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を見たけどこれは確かに伊達じゃない

 アマプラで見た。

 この大クラシック作品を恥ずかしながらまだ見ていなかった。ガンダムは『ZZ』は見ていないけどファーストと『Z』は見ていて、それだけ見ていれば『逆襲のシャア』の予習としては十分と聴いている。にもかかわらず『逆シャア』はまだ見ていなかった。なんか見る機会を逃していた。

 しかし!

 現在、宇宙世紀シリーズにおける続編である『閃光のハサウェイ』が絶賛公開中で、この予習としても見ねば*1なるまいと思い、見た。というかまったく知らなかったのだけど『逆シャア』ではハサウェイが準主役級の扱いなのですね。

 

 ガンダムシリーズは基本的にテレビで1年とか放送するのだが、それは長すぎだと思う。80年代くらいまではそれがテレビアニメの基本だったわけだけど。わたくし的には昔のロボットアニメって作戦と戦闘の繰り返しでけっこう退屈なのである。それよりも『ガンバの冒険』や『未来少年コナン』のような2クールで話がどんどん進展していく冒険ものとか『アルプスの少女ハイジ』のように執拗に生活を描く作品のほうが好きである。

 ちょっと話がそれたが、そういうわけなので『逆シャア』のように劇場作品でひとつの武力衝突を描くのが丁度よいと思った。

 

 で、私は基本「ガンダム」がそれほど好きではない。それが何故なのか『逆シャア』を見てちょっとわかった。なんというか人間関係が濃密すぎる気がする。

 ナナイみたいなエロいおねえちゃんはなんだかんだでアニメでは貴重なのでありがたい。富野さんてこういうキャラもいけるのだなあ。CVの榊原良子さんはハマーン・カーン役もやっている。しかしそれよりも良い(悪い)のがチェーンである。クェスが初対面からチェーンのことを嫌っていたが、あの気持ちはちょっとわかる。なんかアムロにくっついて嫌な感じなのである。しかしいきなり面と向かって悪態をつくクェスはヤバイ。クェスはニュータイプの訓練でオウムみたいなヤバイ団体に洗脳されてるんじゃないかという感じもする。

 そしてなんじゃい、シャアもアムロもキレイなおねえちゃんを侍らせといてララァララァと。ぜんぜん違う作品だけど、もっとバトーを見習え! と思った。しかしこの妙に生々しい男女の感じ、性愛に溺れているのか母性や父性を求めているのか政治的に利用しているだけなのかよくわからない感じ、こういうのはエヴァみたいな感じである。私はエヴァは大好きなのだが何が違うのかはよくわからない。エヴァはもうちょっとユーモアの配分がよいのかもしれない。その分、人間のエグい部分が描かれたときの落差に震える。ついでに、ハサウェイが初めてスペースコロニーの景色を見るシーンは演出も含めてシンジくんがジオフロントに到達するところに似ていた。

 あとファーストガンダムでちょっと出てきたミライさんの婚約者がここでも出てくるのがけっこうおもしろい。この人もハサウェイもギュネイも、というか全員が全員、戦争や地球の未来に私情を持ち込みすぎである。けれどもそれがガンダムシリーズの本質で、結局そういう私情がニュータイプのサイコパワーを引き出すんだからしょうがない。

 というわけで、ガンダムが好きな人はこういうのが好きなのだろうなあというのはよくわかる。私は『パンダコパンダ』みたいなのが好きなのであまり良さを感じられないが、それでも凄いことは認めざるをえない*2。そういう作品で、自分にとって富野監督という人もそういう人な感じである。

 

 作画はかなり良くて、私は『Z』がどうだったかよくおぼえていないけどファーストのまだまだもっさりした感じのイメージとはだいぶ違う。CGも使われているし。キャラクターの顔とかスタイルもかなりかっこいい。ミライさんとかめちゃくちゃ美人になっている。ハヤトみたいな妙な頭身のやつは出てこない。

 モビルスーツの動きやミサイルの起動や爆発、これらはかなりハイレベルである。作画監督のひとりにこのあたりの技術革新をもたらした磯光雄氏がいて、その参加経緯がなかなかおもしろい↓。

w.atwiki.jp

あとガイナックスも参加している。ついでに言うとジオフロントの設定を作ったのは磯さんである。

 作画よりも印象的なのは美術である。緻密で綺麗で。でも私は美術を褒める語彙があんまりない。詳しくないので。

 

 公開された1988年というのは『AKIRA』や『となりのトトロ』『火垂るの墓』も公開された年で、OVAでは『機動警察パトレイバー』や『トップをねらえ!』のリリースが始まった年でもある。アニメ史において技術的にも産業的にも文化的にも重大な一年であったのだなあ。ちなみにテレビアニメでは『それいけ!アンパンマン』の放送が開始している。

 

 それでは『ハサウェイ』も観てきます。

 

*1:ミネバ・ザビ

*2:認めたくないものだな…