曇りなき眼で見定めブログ

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【今更ながら】(押井守ファンによる)『花束みたいな恋をした』の感想(徒然なるままに)

 けっこう胸が締めつけられるというかなんというか、最後すっきりした感じで終ってよかったですよ。

 あと相変らず清原果耶さんがいい感じの役で出てくる。

 私は麦くんが言っていたような"責任"を負いたくないので人との関わりを最小限にしているのだなあ。それでも共感する。

 絹ちゃんと麦くんと二人の人生の方向性がズレていくのだけど、それもタイミングとかそういうののせいであって何か決定的な経験があるわけではない。そういうのってあるよね。映画全体としてどちらか一方の人生を貶めるわけでもなく、そういう感じもとても良かったと思う。またそれとなく描かれるけど絹ちゃんは東京出身で親が一流企業に勤めているのに対して麦くんは地方出身でそれほど上流家庭ではなさそうで、こういうのも影響しているのでしょうな。

 私は東京から引越して札幌でこの映画を観たが、東京に住んだことのない人に井の頭線沿線のこの感じとか伝わるのかな〜と思った。しかしおそらく主人公らと同世代で同じ時代に大学生だった私にはめちゃくちゃわかってしまうこの感じ。「粋な夜電波」とか聴いてんじゃねえよ、と思った。どうも具体的なモデルがいるようなのだが、私も知り合いが何人か浮ぶ。

 

 さて、当ブログの関心事としては押井守監督である。私はあらすじに「押井守が〜」と書いてあったので観にいったのだが、まさかそのまま本人が出てくるとは。

 麦くんは押井さんを見て「犬が好きな人ですよ。あと立喰そばも」と言っていた。犬が好きというのはけっこう有名というか「攻殻機動隊」や『スカイ・クロラ』を観れば明らかだが、立喰そばが好きというのはけっこうマニアックである。 しかし同じ場面で実写版『魔女の宅急便』を観たという人に対して(こういう人が実写版を生んでいるのか)と心の中で言うのだが、『魔女の宅急便』は児童文学が原作で、マンガの実写化とはちょっとわけが違うと思う。それよりもこの頃の押井さんがやっていた実写版パトレイバーのほうがヤバイのではないかと。

 本作は押井さんのどの作品よりもヒットしていると思う。押井さんはいったいどんな気持ちなんだろう。この作品を観た人のうちどれくらいが押井さんを知っているのだろう。逆に作中の世界で『花束みたいな恋をした』という映画をやっていたら絹ちゃんと麦くんは観るだろうか。いろいろ考えてしまった。

 ちょっとフィクション論のセンシティブなところに踏み込みはじめたのでついでに言っておくと、押井さんは本人役なのに戸田恵子さんが役者として出てくるのがめちゃくちゃ混乱した。戸田さんは押井作品には出ていないが(『ニルスのふしぎな旅』に出演しているようなのでまったく絡みがないわけではないかもしれない)、ガンダムをはじめとした富野監督作品や『キャッツアイ』で一世を風靡した80年代を代表する声優である。実写ドラマに出だしたのは90年代からだ。

 

  「出会いは別れを内在している」みたいな台詞があったけど「内在」ではなく「内包」では?

 

 映像の上手いところでは、よくあるのかもしれないけど、スマホ越しの顔にピントが合っていたのがその向こうの実物に切り替わるやつ、あれは良かった。