曇りなき眼で見定めブログ

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日本よ、これがアニメだ。-2020年 羅小黒戦記の衝撃-

 中国発の大作アニメ「羅小黒戦記」シリーズについていろいろ語りたいことがあるのだけれど、とりあえず記録として雑感を書いておこうかと。今年のうちに。

 2019年に劇場版の字幕版が公開されていたというのに観ていなかった私は、ま〜アンテナが低い。自分の見識のなさに驚いてしまった。恥ずかしい。吹き替え版ができて興業の規模が大きくなってようやく観ることになった。

 YouTubeの予告動画を見て驚いてしまった。例えば以下のやつ。


「羅小黒戦記」フーシー、ムゲンの圧巻のバトルシーン公開 櫻井孝宏、宮野真守、松岡禎丞、斉藤壮馬 豪華声優陣も

作画が良すぎるのである。アンテナの低い私がいうのもなんだが、こんなアニメは日本の作品でも見たことがない。アクションがリアルで綺麗であるだけでなく、カメラワークや戦術のアイデアも豊富である。森を駆け回る感じは「NARUTO」30話の松本憲生氏の有名なバトル作画を彷彿とさせる*1。あと猫の挙動のリアルさとかわいらしさ。と、驚いていたらもっと驚く動画があった。


「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)ぼくが選ぶ未来」日本語吹替版 本編特別映像【食事シーン】

この食事シーンも上手い。こういうのって日本のアニメがながらく忘れていたものという感じがする。高畑勲宮崎駿の影響だと思う。

 という感じで期待に胸を膨らませて観にいった劇場版本編の感想を述べる。私はおもしろいアニメを見たとき「ここの作画が良かった」とか「ここの演出が良かった」と言って褒めるのだが*2、この羅小黒戦記は違った。もう「おもしろい」としか言いようがなかった。そこをなんとかもうちょっと細かい分析とかを加えて書きたいのだけれどもそれはおいおいやるとして、私の率直な評価を述べると、押井守監督「イノセンス」以来のアニメ映画の傑作であると思った。イノセンスは2004年公開なので、ここ15年間で最高の作品である。

 この作品の素晴らしいところは、徹頭徹尾「アニメ」である点だと思う。アニメの初期衝動というか、幼い頃にみなアニメばかり見ていたと思うがその頃の熱が蘇るのである。それがカートゥーンでもなければアニメーションでもない、ましてテレビ漫画でもない、アニメのアニメらしさみたいなものに突き動かされているのだ。

 さらに驚いたのが、元々のWeb版も死ぬほどおもしろいということである。劇場版とは作風がまったく違うにもかかわらずおもしろい。劇場版はアクション主体なのだがWeb版はかわいい絵柄で日常のあれこれも取り入れている。そして端々から世界観の壮大さが匂わされる。私はこういうのが大好きである。Web版も含めた大きなアニメシリーズとしての羅小黒戦記の率直な感想を述べると、今世紀のアニメの最高傑作だと思う。つまり「オトナ帝国」や「千と千尋」や「千年女優」や「イノセンス」や「この世界の片隅に」や京アニのいろんなテレビアニメといったいろいろな傑作を超えている。それぐらいおもしろかった。ちょっとそれは言い過ぎかもしれないが、そういう「言い過ぎ」をビビっていては道は開けない。羅小黒戦記はアニメ史を塗り替えるほどの超弩級の大傑作である。

 さらに驚くのがスピンオフ漫画もおもしろいということである。原作からメディア展開、グッズの監修なども監督のMTJJ氏はじめアニメスタジオの人らが権限を握っているらしい。ここもすごい。作品への愛と誇りがある。熱い。

 中国のアニメもすごいな〜とか日本もいずれ追いつかれるかもな〜とかそんな悠長なことを言っている場合ではない。羅小黒戦記シリーズ一作をとってみれば、日本はすでに多くの面で負けている。特にヤバいのが、技術だけでなく志で負けているとしか思えないというところだ。私はいいけどね、おもしろいアニメさえ見れるなら日本のものだろうと中国のものだろうと。2021年のWeb版の更新およびいつになるかわからないけど劇場版の新作、楽しみにしています。

*1:本編を見るともっと露骨に似ていて、オマージュと言っていいレベルだ。

*2:偉そうに!